2003 Fiscal Year Annual Research Report
特異摂動極限として流体及び電磁気学に現れる双曲系境界値問題
Project/Area Number |
13640173
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
柳沢 卓 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (30192389)
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Keywords | ナビエ・ストークス方程式 / 非粘性極限 / プラントール方程式 / 特異摂動 / 渦度 |
Research Abstract |
1.境界のある領域における圧縮性Navier-Stokes流の非粘性極限に関する研究 上記問題を漸近解析的手法を用いて取り扱う際に,境界近傍の展開第1項として現れるPrandtl方程式の初期境界値問題に対して,その存在定理を中心に考察を進めた。この結果,この問題の線型化方程式としてFokker-Planck型方程式を採用すると従来より良い評価式が得られる事が分かったが,非斉次項の取り扱いに幾つかの困難な点があることが分かった。従って,当初目標としていた線型化問題における「解の滑らかさの損失」のオーダー評価を得ることは出来なかったが,Fokker-Planck型方程式の基本解と非斉次項の特殊性をうまく組み合わせて適切な評価式の導出可能性を探るという今後の研究方針は明確になった。 2.非圧縮性Navier-Stokes方程式の解の滑らかさと渦度との関係についての研究 昨年度示す事の出来た,有界領域における非圧縮性Navier-Stokes方程式の解の滑らかさと渦度との関係を与えるa-priori評価式を若干改良できたので,論文"New a-priori estimates of the solutions to the 3-D Navier-Stokes equations in a bounded domain"(Zhouping Xin氏との共著)としてまとめた。Xin氏と内容の最終検討をした後,投稿予定である。更に,上記論文でも本質的に用いた有界領域上のGreen(テンソル)関数を取り入れた強形式のHodge分解定理に関する結果を論文"Generalized Biot-Savart Law on bounded domains in R^n and the applications"(白田平氏との共著)としてまとめた。これも,近く投稿予定である。一方,弱形式のHodge分解定理に関しては新たな知見を得ることは出来なかったが,上の強形式に対する結果を参考にしながら再検討を進めている。
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