2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640192
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大阿久 俊則 東京女子大学, 文理学部, 教授 (60152039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 昌彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (70086346)
宮地 晶彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (60107696)
小林 一章 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50031323)
山島 成穂 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (80086347)
大山 淑之 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80223981)
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Keywords | D加群 / 線形編微分方程式 / アルゴリズム / グレブナー基底 / 自由分解 / 極小分解 / 数式処理 / 割算 |
Research Abstract |
海外共同研究者のM.Granger教授と共に、解析的なD加群に対する不変量として、与えられたフィルターに関する極小自由分解の概念を定義し、それが同型を除いて一意的に存在することを示した。これは解析的D加群の、階数によるフィルターに関する斉次化(Rees環)を経由して定義される。この斉次化D加群は、確定特異点などに関連して理論的にも重要かつ自然な対象であり、従来D加群の計算で用いられてきた斉次化ワイル代数と異なり、局所性を持つという利点がある。従って斉次化D加群に対する有効な計算アルゴリズムを開発することは、応用上も重要である。そこで、本研究代表者は、M.Granger,高山信毅と共に、多項式係数の微分作用素で生成される解析的斉次化D加群における割算アルゴリズムを見出し、数式処理システムKanに実装した。この割算アルゴリズムは、多項式環の局所化(すなわち、べき級数環の中の代数的な元の全体)に対するMoraのtangent cone algorithmと呼ばれる有名な割算アルゴリズムの斉次化D加群への拡張となっている。これは加群としての構造と両立するような任意の単項式順序に関して実行可能であり、微分作用素に対する従来知られている割算アルゴリズムの中でもっとも一般的なものである。さらにこの割算アルゴリズムの応用として、D加群が確定特異点を持つかどうかを判定する問題や、さらに一般にD加群の不確定度の計算アルゴリズムを目標として研究を進め、部分的な結果を得た。一方、D加群に対する既存の(本研究代表者が数年前に導入した)アルゴリズムの数値解析への応用について高山、白木と共に研究を行い、特殊関数のパラメータ付きの積分の数値計算において、D加群の方法により積分がパラメータに関して満たす微分方程式を導出することが有効であることを示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Granger, T.Oaku: "Minimal filtered free resolutions for analytic D-modules"Journal of Pure and Applied Algebra. (印刷中).
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[Publications] M.Granger, T.Oaku, N.Takayama: "Tangent cone algorithm for homogenized differential operators"Journal of Symbolic Computation. (印刷中).
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[Publications] T.Oaku, Y.Shiraki, N.Takayama: "Algebraic algorithms for D-modules and numerical analysis"Proceedings of the 6^<th> Asian Symposium on Computer Mathematics, World Scientific, Singapore. 23-39 (2003)
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[Publications] M.Granger, T.Oaku: "Minimal filtered free resolutions and division algorithms for analytic D-modules"Prepublication du departement de mathematiques, Universite d'Angers. 170. 1-34 (2003)
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[Publications] Y.Nakanishi, Y.Ohyama: "Delta link homotopy for two component links, III"Journal of Mathematical Society of Japan. 55・32. 641-654 (2003)