2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640196
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松本 和一郎 龍谷大学, 理工学部, 教授 (40093314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 善久 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10192783)
岡 宏枝(國府 宏枝) 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20215221)
四ツ谷 晶二 龍谷大学, 理工学部, 教授 (60128361)
萬代 武史 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (10181843)
二宮 広和 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (90251610)
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Keywords | 形式的表象 / 偏微分方程式系の標準形 / 初期値問題 / Cauchy-Kowalevskayaの定理 / Kacの問題 / 極小曲率エネルギー曲線 |
Research Abstract |
本年度は、強双曲系の研究とp-parabolic系の研究に主力を注ぐ予定であっったが、残念ながら十分な成果を得る事ができなかった。他方、下記の2つのテーマについて著しい成果を得た。 (1)一般の系のCauchy-Kowalevskayaの定理の完壁な必要十分条件 既に一般の系のCauchy-Kowalevskayaの定理の必要条件、十分条件については結果を得ていたが、今年度の研究で完壁な必要十分条件を確立できた。主な改良は必要条件の証明に於いてなされた。まず自然に問題を複素領域の問題に書き直す、局所的に得られるa-priori評価をコンパクト集合上の評価に拡張する、適当な複素独立変数の変数変換の後方程式をreal sectionで考えて実領域の発展方程式のエネルギー発展を計算する、その結果を用いて背理法によって証明を完結させる、というものである。特にコンパクト集合上の評価を得る点と実領域に制限してエネルギー評価を行う点が今回の工夫である。この成果は2編の論文にまとめて現在投稿中である。 (2)Kacの問題における反例が成り立つための構造 砂田氏によって確立された、アイソスペクトラルだがアイソメトリーでない領域を構成するための「群の3つ組」の理論に基づいて未発見の3つ組を探すことに、本研究の非可換上の行列式理論の研究における非可換群の研究が利用できることに気付き、平面領域で反例が得られるための仕組みを研究した。その結果、新しい反例の発見には至らなかったが、平面領域の反例が得られるための「環境」の理解は進んだ。その理解に基づいて肯定的な場合を分析し、渡辺宏太郎氏の変分問題のオイラー方程式において、含まれるパラメータを大域的に取ってなおかつ厳密解を得れば、非凸な領域でアイソメトリーならばアイソメトリックになるものが得られることを証明した。非凸な領域でアイソメトリーならばアイソメトリックになるものの報告は世界初である。この成果は、学会で報告されると共に、数理解析研究所の講究録にも収録され、パリのInstitut Henri Poincareにおける国際研究会"Partial Differential Equations and Mathematical Physics"における松本の招待講演One can hear the shape of some nonconvex drumsにおいて報告され、さらにイタリアのピサのCentoro di Ricerca Matematica Ennino De Giorgiにおける"Phase Space Analysis of Partial Differential Equations"における松本の4回連続のサーベイレクチャーとして国際的に報告され極めて好評であった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] W.Matsumoto, M.Murai, T.Nagase: "On the Cauchy-Kowalevskaya theorem of Nagumo type for systems"Hyperbolic D.Op.related pr.(ed V.Ancona et al.) Marcel Dekker. 145-156 (2003)
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[Publications] W.Matsumoto, M.Murai, S.Yotsutani: "By which kind of sound, can one hear the shape of drum?"波動現象と漸近解析(数理解析研究所 講究録). 1315. 156-175 (2003)
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[Publications] H.Ikeda, K.Kondo, H.Okamoto, S.Yotsutani: "On the global branches of the solutions to a nonlocal boundary-value problem arising in Oseen's spiral flows"Comm.Pure Applied Anal.. 3. 381-390 (2003)
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[Publications] J.-S.Guo, Y.Morita: "Entire solutions of reaction-diffusion equations and an application to discrete diffusive equations"Discrete Contin.Dynam.Sysytems. (to appear).
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[Publications] T.Mandai, H.Tahara: "Structure of solutions to Fuchsian systems of partial differential equations"Nagoya Math.J. 169. 1-17 (2003)
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[Publications] B.Malica, T.Mandai, M.Mechab: "Null-solutions for partial differential operators with several Fuchsian variables"Compte Rendus Sci.Paris, Ser.I. 336. 315-318 (2003)