2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホール磁気降着流におけるスペクトル変動の研究
Project/Area Number |
13640238
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶺重 慎 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70229780)
|
Keywords | ブラックホール / 磁場 / 磁気リコネクション / X線連星系 / 活動銀河核 / ガンマ線バースト / シンクロトロン放射 / 逆コンプトン散乱 |
Research Abstract |
低質量X線連星系や活動銀河中心のブラックホール候補天体は、いずれも激しい時間変動と複雑なスペクトル変動を示すが、これには磁場が深く関わっていると考えられる。そこで初年度に引き続き、ブラックホール降着流における様々な物理過程の研究を行い、以下の結果を得た。 (1)MHDシミュレーションによる高温降着流構造の研究 初年度の研究により、磁気降着流では対流が起き、密度分布は対流がない場合よりフラットで、半径の-1/2乗に比例すること、そのためX線スペクトルは円盤外縁部からの制動放射が効いて周波数(エネルギー)に対してフラットとなり、観測された右下がりのべき分布も、短時間変動の存在も説明できないことがわかった。そこで、密度分布を急にする方策を検討したところ、放射冷却を入れて対流運動をおさえる、あるいはジェットを発生させて、中心のガスを引き抜いて対流を起こしにくくすることなどの可能性が出てきた。現在、MHDシミュレーションにより、その有効性を検討中である。 (2)ガンマ線バーストに現れるニュートリノ冷却円盤の構造 初年度に続き、ガンマ線バーストのモデルとして現在有力なブラックホールとコンパクト天体の合体シナリオに基づき、このとき形成されるニュートリノ冷却円盤の構造をさらに詳しく調べた。その結果、移流項の評価による不定性を考慮すると、従来信じられていたより、はるかにニュートリノ冷却が卓越する場合があること、ニュートリノ冷却により、円盤が一時的に不安定化されること、ニュートリノ降着円盤の中では中性子のベータ崩壊がゆっくりと進行し、核γ線を放射することなどが新しく判明した。 (3)磁気リコネクションにより加熱されたディスクコロナモデルの構築 太陽コロナモデルを参考に、磁気リコネクション加熱説に基づく簡単なディスクコロナモデルの構築をおこない、ついで多波長スペクトルを計算し、活動銀河核のスペクトルエネルギー分布を再現することに成功した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Makita, M., Mineshige, S.: "Emission-Line Eclipse Mapping of Velocity Fields in Dwarf-Nova Accretion Disk"Pub. Astron. Soc. Japan. 56. 463-470 (2002)
-
[Publications] Liu, B., Mineshige, S., Shibata, K.: "A Simple Model for Magnetic Reconnection Heated Corona"Astrophys. J.. 572. L173-L176 (2002)
-
[Publications] Ohsuga, K., Mineshige, S., Umemura, M., Mori, M.: "Does the Slim-Disk Model Correctly Take into Account Photon Trapping Effects?"Astrophys. J.. 574. 315-324 (2002)
-
[Publications] Liu, F., Mineshige, S., F.Meyer, E.Meyer: "Two-Temperature Coronal Flow above Thin Disk"Astrophys. J.. 575. 117-126 (2002)
-
[Publications] Kohri, K., Mineshige, S.: "Can Neutrino-Cooled Accretion Disk be an Origin of Gamma-Ray Bursts?"Astrophys. J.. 577. 311-321 (2002)
-
[Publications] Negoro, H., Mineshige, S.: "Log-Normal Distribution in Cygnus X-1"Pub. Astron. Soc. Japan. 54. L69-L72 (2002)