2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属欠乏星の分光観測による銀河系の形成と化学進化の研究
Project/Area Number |
13640246
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
比田井 昌英 東海大学, 総合教育センター, 教授 (90173179)
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Keywords | 金属欠乏星 / 元素組成 / 分光学 / 恒星大気 / 銀河系進化 / 化学進化 |
Research Abstract |
(1)2001-2003年前半の期間に岡山天体物理観測所において観測した金属欠乏星の、硫黄組成解析の最終的結果を日本天文学会欧文報告誌(57巻、No.2)に発表する事が決定している。 (2)すばる望遠鏡のHDSで観測された超金属欠乏星の観測データのまとめと、r-過程元素に関する組成の振る舞いを調べ、それぞれ論文にまとめてAstrophysical Journalに発表した。 (3)すばる望遠鏡のHDSで観測された金属欠乏星HD140283における、リチウム同位体組成比を調べ、上限値を決定した。リチウム6の起源に関する新たな知見を得た。Astronomy and Astrophysicsに発表した。 (4)2004年5月にKeck HIRESにより観測した、超金属欠乏星領域の硫黄組成に関して、2004年10月の学会で予備的結果を発表した。(1)の結果を併せて、硫黄の振る舞いについて新たな知見が得られた。最終結果は、2005年5月にパリで開催されるIAU Symposium228で発表し、さらに論文にまとめる予定である。 (5)HD189322について、ほぼ20種類の元素について組成解析を行った。結果は2005年3月の学会で発表した。窒素組成が異常に超過していることが判明した。論文は準備中である。 (6)国際共同研究で、これまでで最も鉄組成が少ない恒星が発見された。この恒星の組成解析については、Natureに論文が受理され、2005年4月に発表される予定である。第1世代星の可能性もあり、銀河系最初期の化学進化に対して新たな知見が得られた。 (7)太陽近傍のF-K型恒星の系外惑星を持つものと、持たないもの約160星について、岡山天体物理観測所において観測した分光データを公開した。このデータベースに基づき、硫黄と亜鉛組成について解析している。硫黄については、2005年3月の学会で予備結果を発表した。 総じて、2004年度の実績から見て、計画はほぼ達成できたものと総括する。
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Research Products
(6 results)