2001 Fiscal Year Annual Research Report
up・down・strangeクォークを動的に取り扱う格子QCDの数値的研究
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13640259
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宇川 彰 筑波大学, 物理学系・(計算物理学研究センター), 教授 (10143538)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / 格子QCD / 数値シミュレーション / クォーク / 相転移 / クローバー作用 / モンテカルロ法 / 摂動展開 |
Research Abstract |
本計画は、現実の自然界に対応するu,d,sの3種類のクォークの動的効果を取り入れた格子QCDシミュレーションを遂行するための各種計算技術開発及び実際のシミュレーションの実施を目的とする。年次計画に従い、今年度は、動的u,d,sクォークのシミュレーションプログラムの作成とテスト計算を進めた。 まずアルゴリズムについては各種検討の結果多項式ハイブリッドモンテカルロ法を採用することとした。さらに、計算量の爆発を抑えるために改善された格子作用を用いることとし、これに必要な、プログラム修正を行った。 以上の準備の下に、新しい系のシミュレーションを行う上で最も基本的な作業である、(β,κ)面上での相図決定の為のシミュレーションを行った。その結果、 (1)プラケットゲージ作用とクローバークォーク作用の組み合わせ(但しクローバ係数はタドポールで改善した摂動最低次の値を採用)では、格子特有の非物理的一次相転移が存在すること、 (2)この相転移は弱結合側で消失するが、その点での格子間隔は約4GeV程度と極めて大きく、現実的なシミュレーションを行うには極めて重大な困難があることが判明した。また、その対策として、ゲージ作用を改善したシミュレーションを行ったところ(但しクローバー係数はタドポールで改善した摂動最低次の値を採用)、この場合は(β,κ)面上での相図は滑らかであるとの結果を得た。 以上の結果により、本格的な計算はゲージ作用・クォーク作用の両方を改善したものを用いることが必要であることが判明したが、クォーク作用のクローバー係数について完全にO(a)項を消去するための値がフレーバー数3の場合は知られていない。従って、その決定をSchrodinger functionalの方法により行うこととし、年度後半はその計算を進めた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S. Aoki et al: "Non-trivial phase structure of N_f=3 QCD with O(a)-improved Wilson fermion at zero temperature"Nucl. Phys. B(Proc. Suppl.). 106. 263-265 (2002)
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[Publications] S. Aoki et al: "An exact algorithm for three-flavor QCD with O(a)-improved Wilson fermions"Nucl. Phys. B(Proc. Suppl.). 106. 1079-1081 (2002)
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[Publications] S. Aoki et al: "Exploration of sea quark effects in two-flavor QCD with the O(a)-improved Wilson quark action"Nucl. Phys. B(Proc. Suppl).. 106. 224-226 (2002)
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[Publications] S. Aoki et al: "Polynomial Hybrid Monte Carlo algorithm for lattice QCD with odd number of flavors"Phys. Rev. D. (to appear).