2002 Fiscal Year Annual Research Report
up・down・strangeクォークを動的に取り扱う格子QCDの数値的研究
Project/Area Number |
13640259
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
宇川 彰 筑波大学, 物理学系(計算物理学研究センター), 教授 (10143538)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / 格子QCD / 数値シミュレーション / クォーク / 相転移 / クローバー作用 / モンテカルロ法 / 摂動展開 |
Research Abstract |
本計画は、現実の自然界に対応するu, d, sの3種類のクォークの動的効果を取り入れた格子QCDシミュレーションを遂行するための各種計算技術開発及び実際のシミュレーションの実施を目的とする。 本年度の成果は次のとおりである。 1)フレーバー数3の場合の0(a)改善作用の決定 初年度の研究結果により、本格的な計算はゲージ作用・クォーク作用の両方を改善したものを用いることが必要であることが判明したが、クォーク作用のクローバー係数について完全に0(a)項を消去するための値がフレーバー数3の場合は知られていなかった。従って、その決定をSchrodinger functionalの方法により行うこととした。当初計算は、一定の格子サイズを用いて行っていたが、この場合には、一般にa/Lに比例する有限体積効果の補正が必要である。本研究で用いる繰り込み群により改善されたグルオン作用では裸の結合定数の値が大きく、このために上記有限体積補正も無視できない大きさになる。この点の解決のために、格子の物理体積を定に一取る方法を採用することにし、これにより、改善されたグルオン作用を用いた場合に対するクォーク作用のクローバー係数の決定を行った。 2)物理計算 以上の準備により、u, d, sクォーク全てを動的に扱うシミュレーションの準備が完了したので、物理計算を開始した。まず最初のシミュレーションとして、格子間隔が0.1fm程度の値に対応するようパラメータ値を推測した計算を行っている。 本研究開始時には、初年度にアルゴリズム開発を終え、物理計算に入ることを目標としていたが、アルゴリズム開発に予想以上の時間を必要としたこと、また当初使用を予定していたプラケットゲージ作用とクローバークォーク作用の組み合わせに対しては、格子特有の非物理的相転移が発生する事等の展開により、改善された作用を用いる方向に、方針転換の必要があった。さらに、改善された作用に対するクローバー係数の決定が必要なため、これらの作業に大幅な時間を費やした。現在物理計算に重点を移しつつあり、ハドロン質量スペクトル計算を皮切りに、クォーク質量の決定、QCD結合定数の決定等、素粒子標準模型全体に取って重要なテーマの研究の推進を予定している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Aoki et al.: "Polynomial Hybrid Monte Carlo algorithm for lattice QCD with odd number of flavors"Phys. Rev. D. 65. 094507 (2002)
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[Publications] S.Aoki et al.: "An exact Polynomial Hybrid Monte Carlo algorithm for dynamical Kogut-Susskind fermions"Nucl. Phys. B (Proc. Suppl.). (to appear).
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[Publications] S.Hashimoto et al.: "Chiral extrapolation of light-light and heavy-light decay constants in unquenched QCD"Nucl. Phys. B (Proc. Suppl.). (to appear).
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[Publications] S.Aoki et al.: "Non-Perturbative Determination of $c_{\rm SW}$ in Three-flavor Dynamical QCD"Nucl. Phys. B (Proc. Suppl). (to appear).