2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640262
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉永 尚孝 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00192427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 孝哉 埼玉大学, 理学部, 教授 (00008905)
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Keywords | 殻模型 / 奇核 / 電磁遷移 / ペア近似 |
Research Abstract |
本研究の研究目的はつぎのようにまとめられる。最近の計算機の進歩に伴い、軽い原子核の殻模型計算では、ほぼ完全と言える計算が行われるようになってきた。ところがさらに上の領域の中重核に到ると事態は容易ではない。もし、中重核の低エネルギー状態が集団的な角運動量0と2の核子対、S対とD対のみで非常に良く記述されるならば、全殻模型空間の大きな簡約につながる。現在、IBMで中重核の全領域にわたっての計算は容易であるが、ボソンを核子対に置き換えても、必要なハミルトニアン行列の次元は変わらないので、行列要素さえ簡単に計算できれば、計算は同様に簡単になる。しかも、ボソンではなく核子ですべてを考えるので、パウリ効果を自然に取り入れることが可能である。また、ハミルトニアンの回転不変性、粒子数不変性を一切破らない取り扱いなので、得られる波動関数は大変精度の良いものであることが期待される。以上に基づき今年度は以下のような成果を得た。 1、集団核子対を用いて、質量数130領域の偶偶核と奇核を統一的に扱う枠組みを確立した。すなわち、質量数依存を含む現象論的相互作用を用い、同時に偶偶核と奇核のエネルギー、モーメント、電磁遷移などを計算し、実験と比べるプログラムコードを開発した。また、厳密な殻模型計算が可能な小さい系の場合に、殻模型と集団核子対模型との比較によって集団核子対模型が有効であることを確かめた。 2、核子数の非常に多い系(バレンス中性子数、陽子数がそれぞれ9以上)については、相互作用するボソン・フェルミオン模型(IBFM)を最も有効なボソン射影を用いて導き、近似の有効性を確かめながら計算を行い、実験と比較した。
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