2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 泰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50202320)
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Keywords | Dブレーン / 弦の場の理論 / 非可換幾何学 / 境界状態 / べき等方程式 / ソリトン解 / 重力 / 非摂動論的手法 |
Research Abstract |
本年度は昨年に引き続きDブレーンを弦の場の理論としてどのように解釈できるかというテーマで研究を進展させた。内容的には大きく2つに分けることができる。一つは開弦の弦の場の理論をMoyal型式で書き下し、その解析的な解を考えた点である。Moyal型式を用いた弦の場の理論の再定義はBars氏と私により開発されたものであるが、今年はこの解析にゴーストの寄与を入れて弦を構成する全ての自由度を用いて定式化を行うことに成功した。ゴーストはフェルミオン的な自由度であり対応するMoyal型式は非反可換空間を記述している。この方法を用いて例えば弦の場の理論から導かれると考えられる全ての量、弦の振幅や古典解など、を正則化された理論の元で定式化することができた。古典解の解析はタキオン真空の観点からは特に重要であるが、我々はそれを中点の補正に対する摂動展開として得ることができた。この補正は今まであからさまに議論されていなかったものであり、開弦の場の理論の計算において今後重要になるものと考えている。 もう一つの研究の柱は閉弦の場の理論である。とくに新しい結果としては、ブレーンを記述する状態として知られている境界状態を、場の理論の運動方程式の解として得ることに成功した点である。これまでの研究ではブレーンは開弦のべき等方程式の解となると予想されてきたが、我々はむしろ閉弦の変数に対するべき等方程式の解であることを証明した。この方程式は知られている全ての境界状態により普遍的に満たされており、逆に境界状態しか解がないこともわかっできた、この意味でブレーンを運動方程式の解として考えるという当初の目標は、この仕事によりかなり満足のいく形で達成することができた。ただ閉弦の場の理論は定式化自身に本質的な問題点を抱えており、これを克服することが今後の課題として残った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] I.Bars, I.Kishimoto, Y.Matsuo: "Analytic study of nonperturbative solutions in open string field theory"Physical Review D. 67. 126007 (2003)
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[Publications] I.Bars, I.Kishimoto, Y.Matsuo: "Fermionic ghosts in Moyal string field theory"Journal of High Energy Physics. 0307. 027 (2003)
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[Publications] I.Kishimoto, Y.Matsuo, E.Watanabe: "Boundary states as exact solutions of (vacuum) closed string field theory"Physical Review D. 68. 126006 (2003)
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[Publications] I.Kishimoto, Y.Matsuo, E.Watanabe: "A universal nonlinear relation among boundary states in closed string field theory"Progress of Theoretical Physics. (印刷中). (2004)