2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640277
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
二宮 正夫 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 光 京都大学, 理学研究科, 教授 (80211176)
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Keywords | 超弦理論 / 弦の場の理論 / 場の量子論 / 真空構造 / ディラックの海 / 非摂動的研究 / プレビッグバン理論 / サイクリック・ユニバース |
Research Abstract |
本研究において、研究代表者の二宮は、デンマークのニールス・ボーア研究所教授のHolger B.Nielsenと共同で超弦の生成・消滅を記述できる新しい弦の場の理論を提唱した。これはright-movingとleft-movingモードを基本構成要素として場の理論を作ったものである。この研究の進展の過程において、ボソンの第二量子化における長年未解決の問題;フェルミオンは真空として負エネルギーの海(Dirac Sea)を有するのに、一方ボソンにはこの海を構成できないという問題に対する解答としてボソンの海を構成する方法を与えた。更に、Postdoctral Fellowの羽原由修君の参加を得て、超対称性を用いることによってボソンの海を構成した。 二宮は研究分担者の川合と物理教室の福間の協力を得て、宇宙の揺らぎ等を観測する静止衛星「WMAP」による2003年以降の精密データに触発された今の宇宙のビッグバン(10^<-33>cmサイズの宇宙)以前のプレビッグバン理論を超弦理論の観点から構成することができた。この理論は超弦理論の基本的性質;最小サイズ(10^<-33>cm位)の存在及び最大温度(ハドロゲン温度)の存在、更に最小曲率の存在の仮定だけから作り上げたものである。エントロピーを計算することによって、宇宙が誕生してからビッグバンとビッグクランチを繰り返し、遂に今の宇宙が生じたビッグバンまで、40〜50世代を経たものであることが理論上求まった。また今の宇宙が生じてからは、インフラトンという仮想スカラー粒子や場の理論的には極めて奇妙なポテンシャルを仮定する必要はなくインフレーション的膨張を作ることが示せた。 研究分担者の川合は、彼自身が提唱した行列理論による超弦理論の非摂動的定式化に基づき、理論のユニバーサリティーを詳細に研究した。また、行列理論におけるファジーなトーラスの性質を分析した。特に興味深いのは、この理論においては格子場の理論におけるフェルミオンのダブリング問題(いわゆるニールセン・二宮の定理)が解決できる可能性を指摘したことである。
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Research Products
(7 results)