2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640291
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岩本 直樹 香川大学, 工学部, 教授 (20325327)
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Keywords | 中性子星 / アキシオン / 輸送現象 / フェルミ液体 / 制動輻射 / 縮退した星の熱的進化 |
Research Abstract |
物性理論の手法を使い天体物理学的考察によって素粒子の性質を調べた. 縮退した中性子物質中における中性子-陽子衝突によるアキシオン及び擬スカラー粒子の熱的制動輻射率(エネルギー損失率)を計算した.さらに、中性子-中性子、中性子-陽子、陽子-陽子衝突過程によるアキシオン及び擬スカラー粒子の平均自由行程及びエネルギースペクトルを計算した.擬スカラー粒子が中性子と陽子に異なった強さで相互作用し、中性子と陽子が異なったフェルミ面をもつような一般的な場合を取り扱いこれらの物理量の解析的表式を求めた.この研究により今まで限られた相互作用の条件下(擬スカラー粒子が中性子と陽子に同じ強さで相互作用する)でのみ得られていた表式を一般化した.さらにここで得られたエネルギー損失率は以前に他のグループにより得られていた明らかに物理的に正しくない表式と比較して矛盾のない陽子数密度依存性を持つ. 上記で得られたアキシオンの熱的制動輻射率を使って中性子星の熱的進化を数値的に調べた.ニュートリノの熱的放出によるいわゆる"標準的"冷却過程の計算機コードにアキシオンの放出による寄与を取り入れて計算を行った.年齢の知られている或いは年齢が比較的良く推定されている中性子星の中で"標準的"冷却過程の計算結果と最近の衛星による表面温度の観測データとが良く合う場合、アキシオンによって過度の冷却が起こってはいけないという条件からアキシオンと核子の相互作用の上限が求められた.こうして求められた上限は他のグループによる超新星1987aを使って求めた上限と比較して核子-核子相関の不確定性が入らないという長所を持つ.この部分の研究は米国モンタナ州立大学、東京大学との共同研究である.
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Research Products
(1 results)