2003 Fiscal Year Annual Research Report
軽いストレンジネス原子核における分子的構造と応答スペクトル
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13640302
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
原田 融 大阪電気通信大学, 工学部, 助教授 (70238187)
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Keywords | ストレンジネス / 原子核物理学 / 相互作用 / 核構造 / 平均場近似 / 芯偏極効果 / インパルス近似 / 生成反応 |
Research Abstract |
1.平均場近似によるハイパー核の構造計算 密度依存型で有限レンジを持つバリオン間有効相互作用を用いて、平均場近似による密度依存ハートリー・フォック(DDHF)法のハイパー核の理論計算を実行し、^4He,^5_ΛHe,^<16>O,および^<17>_ΛOの構造を求めた。その結果、原子核がハイペロンを含むと、原子核内の核子に対する組み替えの効果によって、陽子や中性子の一粒子エネルギーの準位が変化することが分かった。ハイパー核の芯核の束縛エネルギーは1〜2MeV程度小さくなり(芯偏極効果)、この大きさはΛ粒子の束縛エネルギーに匹敵するため、その評価には組み替えの効果を無視することができない。一方、従来のハートリー・フォック計算では我々の計算結果の半分程度の芯偏極効果しか得られていない。これは有効核子間相互作用のstarting-energyの依存性が重要な要因であることが分かった。 2.(π^【minus-plus】,K^+),(K^-,π^【minus-plus】)や(γ,K^+)反応による応答スペクトル 従来のΣ^-原子核間の相互作用では、(π^-,K^+)反応によるシグマハイパー原子核の生成スペクトルの全体的な形を再現できず、未解決の問題とされている。現在のところ、Σ^-原子核間の相互作用は強い斥力であると考えられているが、理論解析の方法に不定性があるために定量的な結論に至っていない。そこで、新しい理論計算の枠組みとして"最適フェルミ平均近似"を提案し、相互作用がよく知られているラムダハイパー核の(π^+,K^+)反応スペクトルを計算した。その結果、従来の方法では説明できない実験データを再現することに成功し、この枠組みが極めて有効であることを示した。この方法の確立により、(π^-,K^+)反応によるシグマハイパー原子核の生成スペクトルの理論解析に優劣をつけられると期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Shinmura: "Hyperons in High-Density Nuclear Medium : Is Λ-Σ^0 Mixing Large or Small?"Modern Physics Letter A. 18. 128-130 (2003)
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[Publications] T.Harada: "Density-Dependent Hartree-Fock Calculations in Hypernuclei"Nuclear Physics A. (印刷中). (2004)