2002 Fiscal Year Annual Research Report
エピタキシャル成長界面での積層欠陥の形成・結晶破損・電子物性の第一原理的理論研究
Project/Area Number |
13640319
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 隆史 千葉大学, 理学部, 教授 (70189075)
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Keywords | 第一原理計算 / 分子動力学 / 積層欠陥四面体 / 積層欠陥芯 / ドーム構造 / 熱消滅 / 混晶化 / 拡散 |
Research Abstract |
本研究の目的は、半導体のエピタキシャル成長時発生する逆ピラミッド型積層欠陥四面体や金属-半導体混晶層の形成機構と電子物性を明らかにすることである。本年度得られた知見は以下である。 1.Si(111)表面における積層欠陥四面体構造の解明: 開発した分子動力学+モンテカルロシミュレーションを用いて、塩素吸着したSi(111)表面に発生する積層欠陥四面体の欠陥構造を明らかにした。特に、(1)吸着塩素が1つの場合は塩素を表面へ放出しながらSiは正常に成長するが、吸着塩素が2つ以上隣接するとまず周りのSi層が4原子層成長し、その後塩素を覆うようにドーム状の構造が実現されること、(2)四面体の綾は5、7、8員環を交互に並べた構造を持ち、全てのSiは4配位でダングリングボンドが発生せず安定であること、故に積層欠陥四面体のエネルギー損の大部分は面の寄与に依ることを明らかにした。この結果は、東北大学の高桑らの実験結果をよく説明し、欠陥芯構造に対してはじめてモデルが提案されたことになる。 2.積層欠陥四面体の熱消滅過程の検討: 開発した分子動力学法を用いて、積層欠陥四面体は表面から芯に向けて融解し消滅すること、消滅には臨界温度が存在すること、ショックレー転位の拡散バリアが消滅の鍵となることを明らかにした。 3.Au-Si混晶層の形成機構の解明: 第一原理計算を用いて、Si(111)表面上にAuが2原子層以上吸着すると、1原子のAuは表面のダングリングボンドを終端するために表面にとどまるが他のAuは約0.3eVのポテンシャル障壁で内部に拡散すること、Auが内部に拡散するとSi-Siボンドから電荷を奪いSiをAu表面に析出させること、これら反応はAuの大きな電気陰性度が引き起こしていること、などを解明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takashi Nakayama: "Monte Carlo Theoretical Study of Defect Generation at Heterovalent ZnSe/GaAs Epitaxial Interfaces"Defect and Diffusion Forum. 210-212巻. 103-111 (2002)
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[Publications] Syogo Sakurai: "Electronic Structures and Etching Processes of Chlorinated Si(111) Surfaces"Jpn. J. Appl. Phys.. 41巻. 2171-2175 (2002)
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[Publications] Syogo Sakurai: "Adsorption, diffusion and desorption of Cl atoms on Si(111) surfaces"J. Cryst. Growth. 237-239巻. 212-216 (2002)
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[Publications] Hiroyuki Ishii: "Flat-band excitonic states of Kagome lattice in quantum wires on semiconductor surface"Surf. Science. 514巻. 206-210 (2002)
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[Publications] Takashi Kita: "Optical reflectance study of the wetting layers in (In, Ga)As self-assembled quantum dot growth on GaAs(001)"Phys. Rev.. B66巻. 195312-1-6 (2002)
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[Publications] 中山隆史: "反射率差分光は何を見ているのか? ---表面・界面構造を理解するための実験と理論---"固体物理. 38巻. 201-211 (2003)