2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶表面のメゾスコピック構造形成の基礎に関する理論的研究
Project/Area Number |
13640329
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上羽 牧夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30183213)
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Keywords | ステップ / シリコン / ステップの蛇行 / ステップ・バンチング / 結晶成長 / 薄膜の成長様式 / 弾性相互作用 / エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
微斜面上のステップのパターン形成の問題,とくに拡散の異方性交替や2相共存表面でのステップのバンチングと蛇行の問題,およびヘテロエピタキシャル系での弾性相互作用による島形成の機構を研究し,以下のような知見を得た.また結晶化におけるカイラル対称性の破れの問題も研究した. 1.シリコンの(111)微斜面で7x7構造から1x1構造への転移点の近傍ではステップを境に2相が共存し,成長中に位相をそろえたステップの蛇行が起きる.この現象を2相の拡散係数と平衡原子密度の違いによって理論的に説明し,モンテカルロ・シミュレーションによって蛇行パターンの特徴を調べた.平衡密度の違いによる場合には相境界に短波長の蛇行が見られる.また拡散係数の違う系では吸着原子のドリフトによっても蛇行やバンチングが起きる. 2.シリコンの(001)微斜面のようにテラスとステップの構造が1段ごとに交替する系では,外場による吸着原子のドリフトによって外場の向きによらず大きなステップ束が形成される.1次元ステップモデルをつかって,束の形成機構と成長則を明らかにした. 3.ヘテロエピタキシャル系の吸着物質の最低エネルギーの表面形態が格子不整合と結晶表面の自発応力によってどのように変わるかを2次元格子モデルの数値計算によって調べ,薄膜の成長様式を理論的に研究している.格子モデルを拡張して転位を導入し,ミスフィット転位間の相互作用の形を決めた. 4.溶液から塩素酸ナトリウムなどの結晶が析出するときには左手型と右手方の結晶が等量作られるが,これを過飽和状態で粉砕攪拌すると片方の結晶が消失することが最近見つかった.この驚くべき現象を説明するため,カイラルクラスターによる核生成を考慮する簡単なモデルを提唱した.
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Research Products
(1 results)