2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640350
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
常次 宏一 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80197748)
|
Keywords | 強相関電子系 / 多バンドハバード模型 / 幾何学フラストレーション / 軌道自由度 / パイロクロア格子 |
Research Abstract |
スピネル絶縁体ZnV_2O_4においては磁性元素のバナジウムは幾何学的にフラストレートしたパイロクロア副格子を作っている。この系における2つの相転移は単純なスピン・ヤンテラー機構によって近年説明されてきたが、クロムスピネル系との相違点を重視して、相転移の機構を理論的に再考察した。スピン自由度に加えて、バナジウムイオンに残っている軌道自由度を取り入れた有効モデルを格子変形の影響まで含めて考慮して解析し、高温側の転移が軌道秩序の形成に対応して、その軌道秩序パターンによる磁気的フラストレーションの部分的解消が低温側の磁気転移を引き起こす機構を提唱した。 さらに、同じ構造をとる金属LiV_2O_4の重い電子的振舞いを考察するため、この系におけるスピン揺らぎと軌道自由度の混成効果によってどのような不安定性が生じるかを検討した。バナジウム原子の3重の軌道縮重を含めたモデルを乱雑位相近似による解析で研究し、スピン密度と軌道分極の混成した非整合波数の揺らぎがクーロン相互作用によってもっとも増大されることを示した。この時、同時に磁気モーメントを有する軌道揺らぎの長波長成分の揺らぎも相互作用によって増大することも発見した。 また、幾何学的にフラストレートした遍歴電子系の強相関効果を調べるため、カゴメ格子上のハバード模型を研究して、磁気秩序の不安定性が磁気揺らぎのモード結合によって抑制され、フェルミ液体を安定化することを示した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] H.Tsunetsugu: "Instability in the t2g-Band Model on the Pyrochlore Lattice"Journal of Physical Society of Japan. 71・8. 1844-1847 (2002)
-
[Publications] H.Tsunetsugu: "Quantum fluctuations in geometrically frustrated antiferromagnet"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63. 1325-1328 (2002)