2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柄木 良友 東京大学, 物性研究所, 助手 (30186027)
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Keywords | 核四重極相互作用 / 自己誘起渦糸状態 / 時間反転対称性の破れ / Van-Vleck常磁性体 |
Research Abstract |
Van-Vleck常磁性体PrPt5はハイパーファイン相互作用により非常に強められた擬核四重極相互作用をもつ。この相互作用による零磁場での核スピン準位の分裂は温度にして6mKていどであり核断熱消磁冷凍によって実験可能な温度領域である。擬核四重極相互作用が輸送現象にどような影響を与えるかを研究するためPrPt5の電気抵抗、帯磁率の測定を超低温でおこなった。予想をしていなっかたことであるがこの物質は約200mKで超伝導に転移しさらに2mKで超伝導と強磁性が共存するのを見出した。このような超伝導と強磁性が共存の研究は現在非常に興味がもたれている研究分野である。電気抵抗、磁化測定によるとこの物質は第二種超伝導体であり強磁性の影響がない場合Hc1=4G、Hc2=60Gであり強磁性によりHc1は影響を受けないがHC2は10〜20Gにまで減少する。理論でもっとも興味がもたれている共存相は零磁場下でも強磁性磁化によりマイスナー状態を破壊し、混合状態になるという「自己誘起渦糸状態」であるがこの物質では強磁性ドメインにより超伝導の感ずる有効磁化が小さくなり自己誘起渦糸状態は実現しないと考えている。しかし試料によっては超伝導を示さない物もあるためPrPt5とPtの共存系の試料を合成しその磁性、超伝導を調べている。またVan-Vleck常磁性体であるPrOsSbはP波超伝導体である可能性が強いと考えられており、しかも時間反転対称性がやぶれる超伝導である可能性も指摘されている。この物質の超低温での精密磁化測定を行い超伝導体から自発磁化の観測に成功した。これにより時間反転対称性が低温で破れていることがわかった。
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Research Products
(3 results)