2002 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴による低キャリア濃度ホウ化物の磁性の研究
Project/Area Number |
13640355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧川 仁 東京大学, 物性研究所, 教授 (10179575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樹神 克明 東京大学, 物性研究所, 助手 (10313115)
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Keywords | ホウ化物 / 低キャリア濃度 / 核磁気共鳴 / 近藤絶縁体 / 高温弱強磁性体 |
Research Abstract |
YbB_<12>はいわゆる近藤絶縁体の典型例として知られている。近年広島大学の伊賀らによって良質の大型単結晶の育成が可能になって以来、熱・磁気的測定、輸送現象、分光学的測定、中性子散乱などの測定が進んできた。本研究では純粋なYbB_<12>と不純物としてLuを1%Ybサイトに置換した単結晶試料について、Yb(イットリビウム)、B(ホウ素)、Lu(ルテチウム)各原子核について核磁気共鳴の測定を行った。Yb核の核磁気緩和率は熱活性化型の温度依存性を示し、f-P混成ギャップ、あるいは近藤1重項形成によって磁気励起にギャップが生じていることが明らかになった。一方B核の核磁気緩和率については、高温部分はYb核と同様な熱活性型の温度依存性を示すが、20Kより低温で増大し6K付近でブロードなピークを示した。この異常な振る舞いは空間的に希薄に存在する何らかの不純物の周りに局在モーメントが誘起された結果出ることが示された。近藤絶縁体においては、非磁性不純物、即ち、f電子の欠損を導入することによっても、その周りに局在モーメントが誘起される可能性が理論的に指摘されており、今回このような不純物モーメントが実験的に観測されたと考えられる。このことをさらに確認するために非磁性元素であるLuを1%ドープした試料について、BとLu核の核磁気緩和率の比較を行った。両者とも同様な温度依存性を示したが、Luの方が約10倍大きな値を示した。このことから局在モーメントはLuサイトの近くに形成されていることが明らかになった。さらにB核の緩和率に30K付近で非常に鋭いピークが見られたが、これはYb核とB核の共鳴周波数がこの温度で等しくなったために両者の間で交叉緩和が起こったためであると考えられる。この結果はB核の測定を通じてYb核の共鳴を間接的に検出する興味深い方法を提起した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Shishiuchi, Y.Kato, O.M.Vyaselev, M.Takigawa, S.Hiura, F.Iga, T.Takabatake: "Ddefect-Induced Magnetic Fluctuations in YbB_<12>"J. Phys. Chem. Solids. 63. 1231-1234 (2002)
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[Publications] S.Fujiyama, M.Takigawa, T.Suzuki, N.Yamada, S.Horii, Y.Yamada: "Spin dynamics and antiferromagnetic order in PrBa_2Cu_4O_8 studied by Cu nuclear resonance"Phys. Rev.. B67. 060404-1-060404-4 (2003)
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[Publications] S.Fujiyama, M.Takigawa, S.Horii: "Charge Freezing in the Zig-zag Chain Cuprate PrBa_2Cu_4O_8 Observed by Cu nuclear Quadrupole Resonance"Phys. Rev. Lett.. (印刷中).