2001 Fiscal Year Annual Research Report
円偏光放射光X線共鳴磁気散乱による金属人工格子の磁気構造
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13640361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細糸 信好 京都大学, 化学研究所, 助教授 (30165550)
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Keywords | 共鳴X線磁気散乱 / X線磁気円二色性 / 非磁性層磁気分極 / 巨大磁気抵抗効果 / メスバウア分光法 |
Research Abstract |
1.Fe/Gd金属人工格子の低温磁気構造を、Gd L3吸収端共鳴X線磁気散乱測定から得られたGd層の磁化分布(磁場に平行、垂直成分)をもとに検討した。低温(10K)では、Fe/Gd人工格子の磁気構造を決める上でGd層の磁気異方性が無視でず、各Gd原子面内でもGd磁化方向に分布がある。このため、高温領域(120K以上)と異なり磁化測定ではaligned-twisted磁気構造変化を観測できない。しかし、各Gd原子面の平均磁化ベクトルを考えると、(拡張定義された)Gd-aligned-twisted磁気構造変化が起こっていることが、X線磁気散乱パターンの解析から明らかになった。 2.巨大磁気抵抗効果を示すCo/Cu金属人工格子を作製し、その積層構造を韓国PALで調べた。また、Co K吸収端、Cu K吸収端でのX線磁気円二色性(XMCD)、およびCo磁気X線回折の測定を米国APS/ANLで行い、Cu磁気X線回折の測定の可能性を検討した。Co(1nm)/Cu(2nm)膜のCu層のXMCD強度はCo層のそれに比べて1桁小さい。しかし、測定法を多少改良すればCu磁気X線回折測定を行い、Cu層内の磁気分極分布を得られる見通しが得られた。 3.Gd/Cu金属人工格子の作製条件を検討し、Gd層が明瞭な強磁性を示し、しかもソフトな磁化過程を示す条件を得た。このようにして作製した試料の10KにおけるCu XMCDの測定をAPS/ANLで行い、Co/Cu中のCu層よりも数倍大きなシグナルを観測した。今後、温度変化の測定、Cu磁気X線散乱の測定へと研究を発展させる。また、Gd/Cu(Sn)人工格子の作製を行い、Snメスバウア分光法によるCu層磁気分極の測定も開始した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Hashizume, H.Okuda, N.Hosoito, N.Ishimatsu: "薄膜磁性をX線で見る"月刊「マテリアルインテグレーション」. Vol.14, No.5. 72-76 (2001)
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[Publications] H.Sano, H.Hashizume, H.Okuda, N.Hosoito: "Oscillatory Resonant X-ray Magnetic Bragg-Peak Signs and Gd Moments Induced by the Fe/Gd Interlayer Exchange Interactions"Japanese Journal of Applied Physics. Vol.41, No.1. 103-106 (2002)
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[Publications] N.Hosoito, H.Hashizume, N.Ishimatsu, I.-T.Bae, G.Srajer: "Magnetic Structures of an Iron-Gadolinium Multilayer at Low Temperatures"Japanese Journal of Applied Physics. Vol.41, No.3(掲載予定). (2002)