2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール酸化物反強磁性体における量子トンネル現象の研究
Project/Area Number |
13640367
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
出口 博之 九州工業大学, 工学部, 教授 (30192206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古曳 重美 九州工業大学, 工学部, 教授 (00261248)
高木 精志 九州工業大学, 工学部, 教授 (90112359)
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Keywords | ナノ結晶 / 酸化物反強磁性体 / 量子トンネル効果 / 超常磁性 / MCM-41 / La^<1-x>Sr_xMnO_3 |
Research Abstract |
昨年度は、ゼオライトMCM-41の均一で規則的な細孔中でCo_3O_4の超微粒子磁性体を作成し、その超常磁性の磁気緩和について報告した。今年度は同様な手法で作成したLa_<1-x>Sr_xMnO_3の超微粒子磁性体の磁性を報告する。MCM-41は細孔径が30Åのものを作成した。よってその中に生成される微粒子磁性体はサイズ効果とともに表面磁性が非常に大きく寄与することが予想される。La_<1-x>Sr_xMnO_3の低温相はSr^<2+>をドープするにつれ、スピンキャント絡縁体から、強磁性絶縁体、強磁性金属相へと変化することが知られている。ナノスケールの超微粒子ではこれらの低温秩序相がどのように変化するのかを調べた。 粉末X線回折や光吸収スペクトルの測定により、MCM-41細孔内にLa_<1-x>Sr_xMn0_3微粒子が生成されていることを碓認できた担持試料についてSQUID磁束計により直流磁化率および交流磁化率の温度依存を測定した。一例としてx=0.175のSr濃度の場合について報告する。このSr濃度は、絶縁体-金属相の境界濃度に対応する。直流磁化の温度依存はバルクと同様に強磁性的である。ただし、T<70KではZFCとFC磁化に違いがみられた。交流磁化率の結果について報告する。χ"のピークから想定される転移点はバルクと比較して20K程度低い。またT=70K付近からのχ'の減少は直流磁化の結果と対応し、低沮での緩和現象がみられる。結論としてSr濃度を変化させて反強磁性相および強磁性相でのナノ粒子における超常磁性の違いを明らかにできた。前者は微粒子表面における相殺されない常磁性モーメントによる超常磁性を示すのに対し、後者は粒子全体がひとつの磁気モーメントを担う、単一磁区の超常磁性を示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Kohiki, et al.: "Synthesis and Magnetic Properties of Mesoporous Vanaadium Oxide Sulphate"Chemistry Letters. No.7. 670-671 (2002)
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[Publications] T.Tajiri, et al.: "Superparamagnetic Behavior of La_<1-x>Sr_xMnO_3 nanoparticles in the MCM-41 Molecular Sieve"Physica B. (印刷中). (2003)