2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640370
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Research Institution | Graduate School of Science, Osaka City University |
Principal Investigator |
石井 広湖 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80047167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 章 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10204166)
畑 徹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10156333)
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Keywords | プラセオジム化合物 / 基底1重項 / 異方的磁気秩序 / 弱強磁性 / 非磁性基底2重項 / 電気4重極秩序 / 増強核磁性 / 核磁性 |
Research Abstract |
プラセオジム化合物の磁性・超低温物性に関し、主に次の2点の研究を行なった。 1)PrPtAlのf電子Canted磁性の機構 PrPtAlは、斜方晶系TiNiSi構造をとり、単位胞に4ユニットのPrPtAlを含む。1個のプラセオジムイオン(Pr)は他の3個のイオンと互いに点対称、及び鏡映の関係にある。最近、北澤(物質材料研究機構)らはこのPrPtAlがTc=5.8K以下でa軸に沿って強磁性、c軸に沿って反強磁性のcanted磁性を示すことを実験的に明らかにした。我々は結晶の対称性に基づきこの系の磁性の機構を解明した。結晶主軸の方向が鏡映の関係にある2個のPrイオン(A及び,Bサイト)のヴァン・ブレック帯磁率テンソルの非対角要素は互いに逆符号となることを導き、Prイオン間に等方的RKKY相互作用を仮定してA、Bサイトの磁化に対する平均場方程式を立てこれを解いた。結果は実験の特徴を定性的に再現する。 2)PrPb_3におけるf電子系反強4重極秩序(AFQO)のもとでの核磁気秩序 PrPb3は立方晶系で、Prの基底状態は電気4重極モーメントが伴った非磁性2重項状態である。Tc=0.4K以下では電気4重極モーメントが反強的に整列(AFQO)することが知られている。我々はこのAFQO状態を理論的に調べた。O_<22>成分がサイトごとに反強的に出現し、その2乗に比例してO_<20>成分が各サイトで等符号で現れる。O_<22>成分に寄生してO_<20>成分が現れることは、磁性における弱強磁性に対応するものであり興味深い。AFQO状態の各副格子ではヴァン・ブレック帯磁率テンソルは対角的だが対角成分が副格子で互いに入替わっている。このため、超低温で出現する核スピン整列ではAFQO状態の各副格子で核スピンが反強磁性的に並び、且つ2つの副格子では整列するスピンの方向が互いにほぼ垂直になっている。すなわち2種の反強磁性秩序が入り組んだ特異な磁気構造をとる。T_N=3mKと評価される。求めた核帯磁率は阿部(金沢大)らの実験結果に定性的に対応している。
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Research Products
(1 results)