2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640381
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
斯波 弘行 神戸大学, 理学部, 教授 (30028196)
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Keywords | 四重極秩序 / 多重極モーメント / 中性子散乱 / 電荷秩序 |
Research Abstract |
本年度の研究活動は以下の通りである。 (1)ゼロ次の多重極としての電荷秩序の研究を行った。電荷秩序の典型例として知られるYb_4As_3の電荷秩序相において形成される一次元的鎖の性質を理論的に調べ、この一次元的鎖の低温の性質を記述する有効ハミルトニアンを結晶場準位から出発して導いた。その結果、この物質の構造の特異性を反映して、ジャロシンスキー守谷項が存在することなどを示すことが出来た。さらに、この物質の励起状態について詳しく調べ、中性子散乱の実験結果に対する解釈を与え、それを日仏会議で発表して、その会議録にまとめた。 (2)二次の多重極は四重極である。四重極秩序の典型例としてはCeB_6がよく知られているので、この物質についてよく理解することは極めて重要である。平衡状態としての相転移の性質と同時に、四重極相での励起状態がどのようなものであるかは極めて興味がある。10年前にフランスのA. Bouvetによって中性子散乱を用いてCeB_6の励起スペクトルが調べられていたが、当時適切な理論がなく、解釈が与えられぬまま放置されていた。この問題を解決することはこの2年間の中心的課題であったが、この系の磁場中での励起の理論的研究はほぼ完了した。我々の理論によれば、磁場によって誘起された多重極、特に交替的八重極の存在を考慮して始めて、励起状態の適切な理論的記述が可能になるということが分かった。また、実験と比較するため中性子非弾性散乱の散乱断面積を理論的に計算し、Bouvetの中性子散乱の結果と比べると、一致がかなりよいことが分かった。これも論文としてまとめ、近い内に印刷される。 (3)CeB_6では立方対称性の結晶中のCeイオンの結晶場基底状態がΓ_8四重項である。このように結晶場の基底準位が四重項である物質が他にもある。TmTe、NpO_2がそうである。これらでは多重極秩序の可能性が高い。このような立方対称性結晶で結晶場基底状態がΓ_8四重項である系の相互作用に関して一般的な考察を行った。これは近く発表の予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroyuki Shiba: "Structure, Effective Hamiltonian and Magnetic Exciattion Spectrum In Charge-Ordered Yb4As3"Proceedings of French-Japanese Workshop on Quantum Properties of Low-Dimensional Antiferromagnets (Kyushu University Press). 183-190 (2002)
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[Publications] Ryousuke Shiina: "Dynamics of Multipoles and Neutron Scattering Spectra in Quadrupolar Ordering Phase of CeB6"J.Phys.Soc.Jpn.. 72,No.5(掲載予定). (2003)
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[Publications] 細谷暁夫: "現代物理学"森北出版. 221 (2002)