2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640390
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
那須野 悟 九州工業大学, 工学部, 助教授 (90228073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 輝久 日本原子力研究所, 環境科学部, 博士研究員
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Keywords | 粉粒体 / 粉体 / なだれ / クリープ / 流動 |
Research Abstract |
本研究は,粉粒体が示す様々な現象のうちでも最も普遍的であると同時に最も粉体らしい側面が現れていると考えられる粉粒体の流動現象に焦点を絞り,物理的観点からの詳細な実験と理論解析を行うことで,固体・液体・気体という従来の物理学の概念では捉えることができない粉粒体の振る舞いを理解するための新たな概念の形成を目指した基礎的・基盤的研究を行った.特に,申請者らが最近発見した緩慢な流動(クリープ)運動に焦点を絞り,個々の粒子の運動の統計的振る舞いの詳細を実験により明らかにし,粉粒体の流動化を理解するための新たな物理的枠組みを構築するための基盤的知識の獲得を目的としたものである. 本年度は,準2次元的な粉体傾斜面に対し上流より粉粒体を連続供給することで定常的な表層流を起こしたときに粉体内部に生じる緩慢な運動(クリープ)に焦点を当てた実験い,その結果以下のことが明らかとなった. 1.一般に動いていないと信じられている表面から十分に深い層(素朴には固体層だと思われる)の粒子も実はゆっくりと動いている. 2.そのゆっくりした運動の速度プロファイルは深さの指数関数で表される. 3.その指数関数の特徴的長さは,粒子サイズでスケールされ,ほぼ粒子サイズのオーダーである. 4.粒子形状は,球形のみならず,他の粒子形状(細長い種や砂粒)でも指数関数的な速度が観測される. 5.クリープ運動が起きている層の粒子の運動の詳細(粒子の速度分布、速度(空間)相関、層間の粒子の移動等)を深さ毎に調べた結果,各深さに於ける運動は,時間スケールが深さの指数関数的に伸びている以外には,ほとんど等価で,著しい変化は見られなかった.これは,クリープ層が深い部分に於いて減衰していないことを意味し,奇麗な性質を持ったクリープ層が巨視的な厚みで存在していることを示唆している. クリープ層上部の表層流との境界での転移は今後詳しく調べる予定である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小松輝久, 中川尚子, 那須野悟: "定常的な表面流をもつ粉体積層における遅い運動の実験的研究"物性研究. 77. (2001)
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[Publications] 那須野悟: "粉体の物理-巨視的粒子集団の静力学と動力学"物性研究. (掲載予定).