2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640390
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
小松 輝久 学習院大学, 理学部, 助手 (70348499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 尚子 茨城大学, 理学部, 助手 (60311586)
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Keywords | 粉粒体 / 高密度な流れ / 粒体流 / 指数関数減衰 / 固液境界 / クリープ |
Research Abstract |
我々は、砂山などの粉体積層の表層が崩壊するナダレ現象といった粉体系に特徴的な現象における普遍的な現象を探究する目的で定常ナダレ系の実験系を作り観測を行なった。実験系は、2枚の平行平板間に作られる準2次元積層の表層に定常的に粒子が流れる状態を維持することが出来る。この系の特徴的時間は、表層においては通常のビデオフレームレートでは観測出来ないくらい短いが、積層深部に至ると数時間以上という長いものになる。 我々は、(H13年度中に購入した)高速度カメラを用いることで、表層流中の速い粒子の運動を観測し、各粒子の運動を追跡することが出来るようになった。この結果、表層流のプロファイルを得た。深層のクリープ運動との比較を行ない、表層流と深層のクリープ運動は、表層から深部に至るまで、速度プロファイルは連続であるが、表層と深部で異なる特徴的長さを持つ2つの領域に区分されることが分かった。 深部の運動について、より詳しい解析をすることで、深部のクリープ運動が時間スケールの繰り込みによって深さ方向に一様に存在するように見直せることが分かった。このことは、クリープ運動という運動形態が、ある一定の深さで終焉するものではなく、むしろ延々と続いているものであることを示唆している。すなわちある深さ以上にある粒子が未来永劫留まっていると考えるのは間違いで、ある深さの粒子は充分な長さの時間後には組み換え運動を起こすと思われる。但し、この必要な時間は深さの指数関数で増加する為、実際の状況で考えるべき深さの上限は、もっとも長い(観測の)時間スケールで決定されることになる。 また、平均流方向に対して垂直・平行な方向への粒子の拡散過程を調べ、垂直方向に関してはノーマルな拡散、平行方向に関しては異常拡散となっていることがわかった。
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