2002 Fiscal Year Annual Research Report
自律機能を内在した超分子のメゾスコピックパターン形成
Project/Area Number |
13640394
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮川 賢治 福岡大学, 理学部, 教授 (30037296)
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Keywords | 非平衡 / BZ反応 / 自己組織化 / ゲル |
Research Abstract |
イオン強度や温度の変化によってコイルーグロビュール(CG)転移を起こすポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)にルテニウムビピリジン錯体(Ru(bpy)_3^<2+>)を共重合し、BZ反応液中で周期的にCG転移を繰り返すRu(bpy)_3^<2+>-co-PNIPA分子を創製した。22℃に保たれた1×1cmの角セルを用いて濁度測定を行ったところ,約60秒周期の濁度の自励振動が観測された。この振舞いは顕微鏡下で約0.5μm径の多数粒子の周期的な生成・消滅として観測された。更に、BZ反応液中のRu(bpy)_3^<2+>-co-PNIPA分子濃度を1分子計測が可能なほど希薄にし、動的光散乱実験を行った。その結果、還元状態では分子回転半径が酸化状態の約半分になることが見出された。これは、CG転移が起きていることを意味する。濃厚溶液で観測された周期的な濁度変化は、CG転移による分子の絡み合いが原因と思われる。 生体の感覚器や神経回路は、微弱信号の検出にノイズを利用していることは良く知られている。乳化重合を用いて、ミクロン径のRu(bpy)_3^<2+>-co-PNIPA微小ゲル粒子を創製し、外部ノイズによる自己組織化の誘起を試みた。Ru(bpy)_3^<2+>の鋭敏な光感受性を利用して光照射によるホップ分岐を誘起し、ゲルを興奮状態にした。或る強度以上の白色ノイズ電場をかけると、振動状態が誘起された。この励起振動のコヒーレンス度は、スペクトル密度のSN比や発火スパイクの時間間隔の標準偏差など様々な統計量を使って評価された。これらの量は最適なノイズ強度で最大になった。これはコヒーレンス共鳴が起きたことを示している。コヒーレンス振動の周期は系の特性時間で決定されることは理論的に予測されていたが、この実験によってそれが確かめられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kenji Miyakawa: "Experimental observation of coherence resonance in an excitable chemical reaction system"Phys. Rev. E. 66. 0462041-0462044 (2002)
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[Publications] Kenji Miyakawa: "Noise-enhanced phase locking in a chemical oscillator system"Phys. Rev. E. 65. 0562061-0562065 (2002)