2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640404
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
宇藤 茂憲 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20185052)
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Keywords | 多層ラメラリン脂質 / 水和層 / 不凍水 / ラマン散乱 / DSC熱分析 / x-ray回折 / DSPC / DLPC |
Research Abstract |
PC型リン脂質の多層ラメラ形態(「リン脂質2分子膜」+「水和層」)に取り込まれた"水"の過冷却状態や氷結状態を主に・高感度型DSC熱分析、・x-ray回折実験、・Raman分光実験を用いて検証した。 多層ラメラ形態では水の所在は、「水和層」と「剰余水領域」である。後者は、サンプル生成時に加える水量加減によって生じるもので、含水量がある値を超えるとラメラ水和層に"水"が取り込まれなくなり、多層ラメラブロック間に剰余水として蓄えられるものである。これは-20℃近傍で等方質六方晶系状の凍結を急激に生じ、自由水とほぼ同じ振る舞いを示すものであることをDSC熱分析、x-ray回折実験、及び、ラマン分光実験で検証できた。しかし、水和層はリン脂質極性頭部(親水性)に挟まれて(約30Å以下の隙間)いるので、剰余水よりも更に低い温度(-45℃近傍)で不均質六方晶系状氷が徐々に形成される様子を検証出来た(但し、水和層の氷結温度は、炭化水素鎖Cn=18のL-α,distearoyl phosphatidylcholineの場合)。検証方法は、DSCでの概略実験を基にして(但し、冷却媒体が液体窒素の気化ガスなので低温下限は-136℃)、(1)H_2O氷結をX-ray回折実験で、或いは、ラマン散乱による分子振動スペクトラでH_2O分子を直接的に測定した、(2)水和層氷結に伴って生じる、例えば、X-ray回折実験では・ラメラ長周期構造の変化、・炭化水素鎖充填形態の変化など、或いは、ラマン分光では・リン脂質極性頭部の動き、・炭化水素鎖秩序度の目安、・リン脂質LAMモードの変化などを、間接的に測定することで行った。今回の測定最低温度は-190℃近傍までである。また、分解能10ナノ秒の時間分割分光実験では、今回の研究期間内では評価できるデータを提示することはできなかった。問題点をまとめて、今後の課題と考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shigenori Utoh: "Nonfreezing water confined in water layer of multilamellar L-α, distearoyl phosphatidylcholine in temperature range between 0℃ and -190℃"Journal of Chemical Physics. 115,No1. 601-607 (2001)