2002 Fiscal Year Annual Research Report
2次元マントル大循環モデルに基づく地球のマントル進化の数値シミュレーション
Project/Area Number |
13640416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小河 正基 東京大学, 総合文化研究科, 助教授 (30194450)
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Keywords | マントル進化 / マントル対流 / 火成活動 / プレート運動 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
平成13年度に完成したプレート運動の数値モデルを、筆者が従来から開発してきた火成活動・マントル対流結合系の数値モデルに組み込み、マントル進化の数値シミュレーションを実行した。現在のところ、45億年の地球史全体にわたる計算が完了したのは一例のみであるが、このシミュレーションから以下のような重要な知見が得られた。 (1)プレート運動の結果、海嶺火山活動が起こり、玄武岩組成の地殻が形成されるが、この地殻は、プレートとともにコア・マントル境界まで沈み込み、その後、プレートから剥離し、コア・マントル境界上に蓄積される。つまり、マントルは化学的に成層する。この化学成層の結果、上部マントルは放射性元素に欠乏し、マントル深部は放射性元素を多く含むようになる。 (2)沈み込んだプレートは、下部マントル深部にブロードな熱的・化学的不均質構造を生み出す。 (3)プレート運動がどの程度活発に起こるかは、高温プルームがどの程度活発にマントル深部から浮上してきて、プレートを破壊し、プレート境界を形成するかによって決まる。プルーム活動の活発さは、マントル深部の熱的・化学的状態に敏感に反応するため、プレート運動の活発さも、マントル深部の状態と密接に関連する。 特に(1)、(2)の結果は、近年急速に発達した地震波トモグラフィーによって明らかにされた、沈み込んだプレートの行方やマントル深部の構造、様々な地球化学的手法によって明らかにされてきたマントルの成層構造を統一的に説明する上で重要な意義を持つ。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Masaki Ogawa: "Plate-like regime of a numerically modeled thermal convection in a fluid with temperature-, pressure-, and stress-history-dependent viscosity"J. Geophys. Res.. 108・B2. (2003)