2001 Fiscal Year Annual Research Report
ディジタル・フィードバック地震計実用化のための基礎研究
Project/Area Number |
13640419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 裕一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30220073)
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Keywords | 地震計 / 地震計測 / 広帯域地震計 / DSP / ディジタル・フィードバック |
Research Abstract |
本研究の目的は,従来アナログ回路で行っていた地震計の負帰還制御をディジタル処理で行うディジタル・フィードバック地震.計を試作し,非線形性の効果を軽減することによる精度の向上,ディジタル処理を用いた計測周波数帯域の容易な変更や地震計設置時における精密作業の自動化など利便性向上の実現性を評価し,それを開発に生かすことである. 本年度はディジタル・フィードバック地震計を試作した.試作前に行った数値実験の結果から,地動の加速度を検出する振子に作用させる負帰還力の遅延が,地震計の特性と安定性に致命的な影響を与えることが判った.そのため,負帰還力を計算する演算素子は従来型の処理装置では能力不足で,高速演算可能な処理装置DSP(Digital Signal Processor)を採用することにした.更に,計測器として多様な設置環境に適合させるには,素子の消費電力も考慮に入れる必要がある.DSPの中でも低消費電力の特性を持つ固定小数点演算DSPのTI社製の32C5402を搭載した評価用ボードを核として,これに接続可能な高速で16ビットの分解能をもつAD及びDA変換器回路を新規に製作して負帰還演算回路を試作した.負帰還演算回路をDSPで制御するためのソフトウェアも新規に開発し,基本的な動作ができるようになった. 一方,上記の負帰還演算回路の開発と平行して,この回路に接続する振子装置についても検討した.振子装置として要求されるのは、振子としての基本性能が高いだけでなく,振子変位を高感度で電圧の形式で取得できることと、その力学的特性が詳細に明らかになっていることなどである.当初,規格に合うものがなかなか見つからなかったが,アカシ製特注品を使用することによって対応できた. 上記のように,本年度においてディジタル・フィートバック地震計の試験装置が完成した.これを用いて今後,実験を重ねて本研究の目的を達成する所存である.
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