2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640430
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Research Institution | National Astronomical Observatory |
Principal Investigator |
日置 幸介 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (30280564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 良明 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (90150002)
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Keywords | GPS / 地殻変動 / 季節変動 / 連続観測 / 積雪荷重 / 地震発生 / 宇宙測地技術 / VERA |
Research Abstract |
科研費申請時には年周地殻変動は現象のみが知られておりその原因は謎であったが、本研究により原因がほぼ究明されただけでなく、地震活動の季節変動との因果関係もある程度明らかにすることができた。昨年度は国土地理院のウェブページより取得したGPS全国観測網の2年間のデータと、アメダス積雪深度データを対比することにより、東北地方で顕著に見られる年周成分の主な原因が積雪荷重による弾性変形であることを解明した。この成果は初年度に米サィエンス誌の論文となり、わが国でも主要なメディアに取り上げられる等大きな反響を呼んだ。また田村は、年周視差によって銀河系の測距を行うVERA計画に年周地殻変動が及ぼす影響について詳細な検討を行った。日本列島の地震活動には季節性が見られるが、海溝型地震は秋冬に多く内陸地震は春夏に多い傾向が昔から知られている。今年度は内陸地震特に積雪地域に発生する地震の季節性を調べ、積雪荷重との因果関係を研究した。地震に先立つ歪の蓄積速度と積雪荷重による断層面でのクーロン破壊応力の増加を定量的に比較し、前者の一年分のほぼ10%におよぶ応力擾乱が積雪荷重によって発生することがわかった。両者の相対的な大きさから、雪どけ時期にピークをもっ地震発生頻度は最小時の三倍程度になることが予測される。もっとも新しい日本の被害地震のカタログから、内陸地震の発生時期を積雪地域で発生したものとそれ以外について統計処理した。その結果モデルから予測されるのと調和的な季節変動が積雪地域で見られ、一方積雪のない地域ではそのような傾向が見られないことを明らかにした。これはEarth Planet. Sci. Lett.誌に2003年2月に掲載され、Nature(http://www.nature.com/nsu/030210/030210-13.html)及びNew Scientist (http://www.newscientist.com/news.jsp?id=ns99993409)の外国の科学雑誌にニュースとして取り上げられただけでなく、国内でも大きな話題となった(http://slashdot.jp/articles/03/02/19/122254.shtml)。補助金額を考えると極めて投資効率の良い研究補助であったと言うことができよう。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Heki, K.: "Snow load and seasonal variation of earthquake occurrence in Japan"Earth and Planetary Science Letters. Vol.207. 159-164 (2003)
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[Publications] 日置幸介: "雪どけは地震をトリガーするか"月刊地球. 25巻2号. 109-113 (2003)