2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640435
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 豊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90192468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 彩子 東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (30272537)
|
Keywords | 全球凍結 / スノーボール・アイス / 自転軸傾斜 / 海惑星 / 陸惑星 / 太陽放射の減少 / アイスアルベドフィードバック |
Research Abstract |
液体の水が存在できる環境が作られる条件、特に惑星が凍結してしまう条件の検討を通して、惑星の軌道要素と生物が存在できる条件の関係を明らかにすることを目指し、大気大循環モプルによる実験を行った。平成13年度は陸惑星(湿ってはいるが海を持たない惑星)と海惑星について、大気組成や大気圧は現在の地球のものを用いて、自転軸傾斜と年平均日射を変化させ、主に太陽放射を減らしていった場合の凍結状態の発生について検討した。本研究では全球凍結の発生条件を定量的に決めるというよりは、むしろ軌道要素や惑星の性質が違うことによって、どのようなメカニズムが働き、暖かくなりやすいのか冷えやすいのか、凍りやすいのか否か、を明らかにすることを目指した。(1)陸惑星と海惑星を比較した場合、海惑星の方が凍結に陥りやすい。自転軸傾斜が23.5度の場合、海惑星は太陽放射が現在の約90%で凍結したが、陸惑星は約67%まで凍結しなかった。この原因は、海惑星は全域が湿っているために、低緯度地域など太陽放射が大きい地域で蒸発が起こってその地域に雲が立つが、陸惑星は太陽放射が大きい地域は乾燥する傾向にあって雲が立たないため、反射率が海惑星よりも低いこと、陸惑星は乾燥しているために大気の温度が低くても雪が降らず、アイスアルベドのフィードバックが効きにくいこと、などが原因である。(2)自転軸傾斜が小さいほど一般に寒冷であるが、凍結条件に関しては自転軸傾斜が0度の場合と23.5度の場合ではほとんど差が生じなかった。一方、自転軸傾斜が大きい場合には凍結が起こりにくい。自転軸傾斜が60度の場合には現在の太陽放射の約70%で低緯度に万年雪が出現したが、全球凍結の出現は約57%の時である。これは自転軸傾斜が大きいとき夏の高緯度が高温になることが冬まで影響する結果で、自転軸傾斜が大きいときに出現する「傾斜レジーム」の存在と関連している。
|