2001 Fiscal Year Annual Research Report
秩父帯・四万十帯の大規模崩壊における岩質・地質構造特性の研究
Project/Area Number |
13640463
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村田 明広 徳島大学, 総合科学部, 教授 (20143373)
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Keywords | 四万十帯 / 大規模崩壊 / 地すべり / 十津川災害 / クリープ / 有田川構造線 / 白亜系 |
Research Abstract |
奈良県十津川村,大塔村周辺の四万十帯で,九州で明らかにされた地質区分を基に,地質構造の見直しを進めた.従来の崩壊の研究は,崩壊した現場のみ見ていることが多いらしく,受け盤で発生したのか,流れ盤で発生したのかまであいまいになっていることが多い.崩壊の起こっていないすぐ周辺の地質構造を見ることが,崩壊の要因を探るうえで重要である.十津川災害で発生した多くの大規模崩壊は,いずれも砂岩卓越層あるいは,厚い玄武岩質火山岩類の分布域で発生している.メランジュ分布域は,小規模な崩壊が頻繁に起こっているために,かえって大規模な崩壊が起こりにくいことが分かってきた. また,流れ盤よりもむしろ受け盤で大規模な崩壊が起こっているらしい.高知県の四万十帯の加奈木崩れでも,受け盤で大規模崩壊が発生している.いずれの大規模崩壊でも,斜面でクリープが発生していることが,間接的な要因となっている. 四万十帯の地質構造の把握と並行して,和歌山県下の断層沿いの崩壊を調べる目的で,有田川構造線の調査を行った.この断層は東半分では三波川帯と四万十帯を直接境する断層となっている.御荷鉾緑色岩類と秩父帯の境界をなすこの断層に沿っては,非変形の泥岩が狭長に分布しており,白亜系の可能性が指摘されていた.この泥岩から新たに二枚貝化石が発見され,白亜紀前期であることが確実になってきた.この白亜系は,もともと秩父帯のジュラ紀コンプレックスの上に不整合でのっていたものである.有田川構造線は左横ずれ断層と考えられているため,断層の解放性屈曲部で,白亜系が落ち込んでいる可能性が大きくなった.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 村田明広, 田村実, 山北聡, 中村洋子, 伊藤谷生: "紀伊半島西部,有田川構造線沿いの泥岩から白亜紀二枚貝の発見"構造地質. no.46(印刷中). (2002)