2002 Fiscal Year Annual Research Report
マグマ溜りにおけるマグマ貯留期間:鉱物の微細組織解析からの推定
Project/Area Number |
13640478
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下林 典正 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70235688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 亮 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10324609)
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Keywords | マグマ溜り / 火山岩 / ピジョン輝石 / 平均滞在時間 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,有珠山・宅島・桜島といった現在活動中の火山からの噴出岩を中心にした数多くの火山岩試料を入手して偏光顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いた詳細な観察を行なった。しかし,本研究の主目的である「マグマ溜り中において噴出前に晶出していた鉱物斑晶をもった火山岩」を特定するための基準としていた,(1)ピジョン輝石を斑晶ないし微斑晶として含んでおり、(2)斑晶(ピジョン輝石や斜長石)が中央部と周縁部との二層構造となっており、(3)その周縁部の化学組成が石基中の同鉱物の組成と一致しており、(4)さらに斑晶の中央部の生成温度が輝石温度計などから見積もれる、という全ての条件に適う試料を船形火山岩類中のソレアイト質玄武岩以外に見出すことができなかった。この岩石は既にMiyake & Shimobayashi(2000)によりマグマ溜りにおける滞在期間が見積もられているものと同産地のものであり,結局のところ他の一産地の火山岩との比較検討を行なうことはできなかった。 そのため本研究では,この試料中のピジョン輝石の化学組成に合わせた合成物のアニーリング実験を行ない,rate lawを用いるためのパラメーターの精密化を図ることに主眼を移した。その結果,McCallister(1978)の方程式をそのまま適用した場合よりかは若干長い滞在時間(半年から1年程度)が得られた。しかし,全く同じ試料を提供した他の研究者が異なった手法(結晶サイズ分布[CSD]解析)を用いて,はるかに長い平均滞在時間を導き出しており,その差異に関しての検討議論を行なった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Asada, R., Shimobayashi, N., Kitamura, M.: "Equilibrium form of negative crystals in igneous quartz"Journal of Mineralogical and Petrological Sciences. 97・5. 59-69 (2002)
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[Publications] Kawano, J., Shimobayashi, N., Kitarnura, M., Shinoda, K., Aikawa, N.: "Formation process of calcium carbonate from highly supersaturated solution"Journal of Crystal Growth. 237-239. 419-423 (2002)
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[Publications] Ikeda, T., Shimobayashi, N., Wallis, S.R., Tsuchiyama, A.: "Crystallographic orientation, chemical composition and three-dimensional geometry of sigmoidal garnet : evidence for rotation"Journal of Structual Geology. 24・10. 1633-1646 (2002)
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[Publications] Matsumoto, M., Wallis, S.R., Aoya, M., Enami, M., Kawano, J., Seto, Y., Shimobayashi, N: "Petrological constraints on the formation conditions and retrograde P-T path of the Kotsu eclogite unit, central Shikoku"Journal of Metamorphic Geology. 21・4(in press). (2003)