2003 Fiscal Year Annual Research Report
含ヒ素金属鉱物および地表環境下でのヒ酸塩鉱物の形成過程
Project/Area Number |
13640487
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
松原 聰 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (40000137)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 律郎 国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究官 (80290865)
|
Keywords | 甲武信鉱山 / 小泉鉱山 / ヒ酸塩鉱物 / ベイルドン石 / オリーブ銅鉱 / 5価のヒ素 |
Research Abstract |
含ヒ素金属鉱物ならびにヒ酸塩鉱物につき、野外における産状の調査と資料収集を、長野県甲武信鉱山、大分県木浦鉱山、同尾平鉱山、広島県瀬戸田町、岡山県小泉鉱山などでおこなった。甲武信鉱山では、原鉱物としては、ヒ鉄鉱と硫ヒ鉄鉱であり、二次的にアーセニオシデライト、毒鉄鉱、スコロド石が生成されている。木浦鉱山、尾平鉱山、瀬戸田町では、既知の鉱物以外にはまだ新しい発見はなかったが、研究は続ける予定である。小泉鉱山は、露頭部で、銅や鉛を主成分とするヒ酸塩鉱物、ベイルドン石やオリーブ銅鉱などを見い出した。これらはきわめて安定した相として、風化した岩石の割れ目に固着している。小泉鉱山の原鉱物は、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、硫ヒ鉄鉱であり、それらの低品位鉱石は廃棄された場所で多く見られる。そこでは、それぞれの鉱物は分解が進んでいる。分解した部分に多く見られるのは、鉛-銅-鉄系の硫酸塩あるいは硫酸塩とヒ酸塩の複合型のみょうばん石グループの鉱物である。また、ベイルドン石なども見られるが、今のところ、亜鉛を主成分とするヒ酸塩鉱物は確認していないが、引き続き分析を進める予定である。また、国立科学博物館所有のコレクションから、富山県亀谷鉱山の亜鉛の二次鉱物を検討中に、亜鉛のヒ酸塩鉱物である、アダム石などを確認した。以上の二次鉱物群は、常に風雨に曝される状況にあるにもかかわらず、溶け出したりする様相はない。5価のヒ素が四面体構造をとることにより、きわめて不溶性なヒ素となり、環境に対する悪影響が少なくなることが証明された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] H.Miyajima, S.Matsubara, R.Miyawaki, K.Hirokawa: "Niigataite, CaSrAl3(Si207)(SiO4)O(OH) : Sr-analogue of clinozoisite, a new member of the epidote group from the Itoigawa-Ohmi district, Niigata Prefecture, Japan."Journ.Mineral.Petrol.Sci.. 98・3. 118-129 (2003)
-
[Publications] R.Miyawaki, S.Matsubara, K.Yokoyamaほか: "Kozoite-(La), La(CO3)(OH), a new mineral from Mitsukoshi, Hizen-cho, Saga Prefecture, Japan."Journ.Mineral.Petrol.Sci.. 98・4. 137-141 (2003)
-
[Publications] S.Matsubara, R.Miyawaki, M.Kurosawa, Y.Suzuki: "Watatsumiite, KNa2LiMn2V2Si8024, a new mineral from the Tanohata mine, Iwate Prefecture, Japan."Journ.Mineral.Petrol.Sci.. 98・4. 142-150 (2003)
-
[Publications] H.Konishi, T.L.Groy, I.Dodony, R.Miyawaki, S.Matsubaraほか: "Crystal structure of protoanthophyllite : A new mineral from the Takase ultramafic complex, Japan."American Mineral.. 88・11-12. 1718-1723 (2003)
-
[Publications] Y.Banno, R.Miyawaki, S.Matsubara, K.Makinoほか: "Magnesiosadanagaite, a new member of the amphibole group from Kasuga-mura, Gifu Prefecture, central Japan."Euro.Journ.Mineral.. 16・1. 177-183 (2004)
-
[Publications] 松原 聰: "フィールドベスト図鑑「日本の鉱物」"学習研究社. 260 (2003)