2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640488
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
宮脇 律郎 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究官 (80290865)
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Keywords | 希土類元素 / 炭酸塩 / 弘三石 / 水酸バストネン石 / 結晶化学 |
Research Abstract |
ランタン石型結晶構造を持つネオジム炭酸塩八水和物を、種々の濃度の重炭酸ナトリウム水溶液あるいは水酸化ナトリウム水溶液と共に、テフロン反応溶液中に封入し、200℃で7日間保持した。水熱反応により得られた生成物を粉末X線回折法により同定した。反応生成物は、バストネン石と同形の水酸バストネン石と、アンキル石と同形の弘三石と同じX線回折パターンを与えた。重炭酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との間では著しい差異は認められず、生成物の違いは水溶液の濃度に依存していた。0.005から0.1Mの濃度範囲では、水酸バストネン石と弘三石の両方が生成したのに対し、この範囲以外の濃度の水溶液では水酸バストネン石の生成のみが確認され、弘三石の生成は認められなかった。佐賀県肥前町で発見された弘三石は、その産状からネオジムランタン石が変化してできた鉱物であることが予想されている。今回の実験結果は、佐賀県肥前町のアルカリ玄武岩中で、ランタンネオジム石に作用してこれを弘三石に変化させた熱水のアルカリイオン濃度は比較的低かったことを示唆している。水酸バストネン石と弘三石は化学組成は同じであるが、結晶構造が異なる多形である。弘三石は水酸バストネン石に比べて密な構造を持つ。このため、水酸バストネン石と弘三石のどちらが生成しやすいかは、反応の圧力条件に大きく影響されると考えられる。テフロン反応容器での反応時の圧力は、容器中への物質の充填率と反応温度に依存する。これまでに行った、充填率80%までの範囲では、弘三石のみが生成する条件は見いだせなかった。このため、弘三石はより高い圧力化で生成したと推定される。以上の結果は、次年度ではより高い圧力範囲で、弘三石の生成条件を検討する必要性があるという指針を与えた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ritsuro MIYAWAKI他: "The crystal structure of rengeite, Sr4ZrTi4(Si2O7)208"Journal of Mineralogical and Petrological Scicences. 97・1(印刷中). (2002)
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[Publications] 宮脇律郎他(分執) 日本分析化学会編: "改訂五版分析化学便覧"丸善. 806 (2002)