2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640497
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤村 勇一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90004473)
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Keywords | 光化学反応 / レーザー化学 / 光異性化 / 量子制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、制御されたレーザー場によって光化学反応の目的物質を得る量子制御法を確立することであった。特に、化学的に興味のある光合成の初期過程、バクテリアロドプシン類似アナログのトランスーシス光異性化をとりあげる。ここでは、レチナール分子のトランスーシス光異性化をモデルとした。電子励起状態と基底状態のポテンシャル交叉(非断熱相互作用)とレーザーと分子の双極子相互作用がこの光異性化反応の摂動項である。はじめに、1次元モデル内での最適量子制御理論を展開した。基底状態と光励起状態との断熱ポテンシャルエネルギー曲面の非断熱相互作用をとりいれ、この光異性化反応を促進するレーザー場の設計をおこなった。分子-レーザー双極子相互作用が非断熱相互作用エネルギーより大きいの場合、および、中間的な場合を取り扱った。これらの場合について、大域的最適制御法を適用し、2つの(基底状態と光励起状態)断熱ポテンシャルエネルギー曲面上を運動する核波束の時間発展と最適制御レーザーの電場を評価した。得られた結果を解析することによって、特に、中間的な場合、新しい制御法を見いだすことが出来た。これは一種のポンプーダンプ型の制御法である。これまでの扱いは、強レーザー場によってポテンシャル曲面をゆがめて反応制御をするものであったが、本研究で得られたとり扱いは、核波束が基底電子状態を断熱的に移動させようとするものである。 現在、この成果をもとに、非断熱相互作用モードと反応座標モードを考慮した、2次元ポテンシャルモデルを用いて光励起状態の核波束動力学シミュレーションを行っている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Ohtsuki et al.: "New quantum control path way for a coupled-potential system"Chem.Phys.Letters. 369. 525-533 (2003)
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[Publications] K.Hoki et al.: "Molecular motors driven by laser pulses : Role of molecular chirality and photon helicity"J.Chem.Phys. 118(2). 497-504 (2003)
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[Publications] H.Umeda et al.: "Quantum control of molecular chiality : Opticalisomerization of difluorobeuzo[C]phenutrene"J.Am.Chem.Soc.. 124(31). 9265-9271 (2002)
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[Publications] K.Hoki et al.: "Quantum control of molecular handedness in a randomly oriented racemic mixture using three polarization components of electric fields"J.Chem.Phys. 116(20). 8799-8802 (2002)
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[Publications] Y.Ohta et al.: "Theory of stimulated Raman adiabatic passage in a degenerated reaction system : Application to control of molecular handedness"J.Chem.Phys. 116(17). 7509-7515 (2002)
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[Publications] K.Hoki: "Control of molecular handedness using pump-dump laser pulses"J.Chem.Phys. 116(6). 2433-2436 (2002)
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[Publications] R.J.Gordon, Y.Fujimura: "Encyclopedia of Physical Science and Technology"Academic Press. 24 (2002)