2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640510
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
若林 知成 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30273428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲田 伸明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70101045)
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
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Keywords | 炭素クラスター / 光解離 / 分光学的同定 / マトリックス分離分光 / 赤外吸収 / 紫外可視吸収 / フラーレン / ポリイン |
Research Abstract |
炭素クラスターの光解離反応の詳細を明らかにし、その応用として、未同定の炭素クラスターを分光学的に同定することを目的として、マトリックス分離分光法を用いた研究を行ってきた。本目的のために、黒鉛の抵抗加熱やレーザー蒸発により生成した炭素分子を低温マトリックス中に補足し、光照射時の変化を赤外吸収と紫外可視吸収において同時測定してそのスペクトル相関をとる新しい手法を開発し、実験を行った。その結果、初年度に直鎖構造をもつ炭素6量体クラスターC_6の紫外吸収スペクトルの同定に成功したのを皮切りに、C_2分子の新しい電子遷移およびその励起状態のネオンマトリックス中における緩和過程の特異性を発見するなどの成果をあげた。以上の研究結果は、フラーレン生成機構等に直接関与する炭素クラスターの凝集機構の解明や制御法の開発、燃焼過程の理解と制御、さらには星間空間にみられる未同定の光吸収帯の同定に役立つと期待される。 本年度は、過去に質量分析、負イオン光電子分光、イオンクロマトグラフィー等の方法で存在が間接的に予測されている環状構造の炭素クラスターの同定に焦点を絞り、炭素クラスターの生成条件の再検討を行った。ヘリウムまたは水素ガスの超音速気流中で黒鉛のレーザー蒸発を行い、生成する中性クラスターや炭化水素の質量分布を、真空紫外パルスレーザーを用いた1光子イオン化質量分析法により調べる手法を用いた。その結果、従来のイオン種が生成する時間領域より遅い領域において、C_<10>という中性クラスターが特異的に生成することを見出した。またC_<10>クラスターが、直鎖構造の末端に水素が付加したポリイン分子C_<2n>H_2(n=2-5)と同程度に安定であることを明らかにし、低温ガスとして単離できる可能性を示した。このことはC_<10>の環状構造の分光学的証明と同時にフラーレンC_<60>に匹敵する新たな炭素同素体研究の端緒を切り開くものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Tobe, I.Ohki, M.Sonoda, H.Niino, T.Sato, T.Wakabayashi: "Generation and characterization of highly strained dibenzotetrakisdehydro[12]annulene"J.Am.Chem.Soc.. 125. 5614-5615 (2003)
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[Publications] Y.Kato, T.Wakabayashi, T.Momose: "A mass spectroscopic study of laser ablated graphite in H_2 and D_2 gases : the stability of C_<2n>H_2 (n=2-5) and C_<10>"Chem.Phys.Lett.. 386. 279-285 (2004)
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[Publications] H.Hoshina, Y.Kato, Y.Morisawa, T.Wakabayashi, T.Momose: "UV and IR spectra of C_3 embedded in solid para-hydrogen"Chem.Phys.. 300. 69-77 (2004)
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[Publications] T.Wakabayashi, A.-L.Ong, D.Strelnikov, W.Kriitschmer: "Flashing carbon on cold surfaces"J.Phys.Chem.B. (in press).