2001 Fiscal Year Annual Research Report
高圧ATR赤外分光法によるオキシエチレンのコンホメーションと水和構造の研究
Project/Area Number |
13640513
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福原 幸一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90208976)
|
Keywords | 高圧ATR赤外分光法 / オキシエチレン / コンホメーション / ブロックオリゴマー |
Research Abstract |
オキシエチレン鎖のコンホメーションはアルキル鎖とのブロック共重合体ではブロック鎖長に強く依存し,多様でダイナミックな多形現象が観測される。この現象はアルキル鎖のvan der Waals力による分子間凝集力とオキシエチレン鎖の平面構造からヘリカル構造べのコンホメーション復元力を主体とした分子内力との競合によると考えられている。van der Waals力は非常に弱い相互作用であるために,ブロック鎖長だけではなく温度,圧力,水和などのわずかな外部要因によりその分子形態が変化することが期待される。 本研究では数10MPa程度までの圧力を加えた場合のアルキル/オキシエチレンブロックオリゴマーのコンホメーション転移に関連した研究を行う。加圧コンホメーション転移の観測には本課題で購入した高圧ATR赤外分光装置を用いる。 コンホメーション多形現象は不純物の影響を強く受けるため,今年度は試料の純度向上に重点を置き,約20種の合成試料の純度を99.9%以上に上げることに成功した。これらの高純度試料を用いてまず常圧下での熱的挙動およびコンホメーション挙動をそれぞれDSCおよびIRを用いて調べた。それにより,1.これまで確認されていた固体状態におけるオキシエチレン鎖のコンホメーション転移は平面→ヘリカルであったが,今回アルキル/オキシエチレン/アルキルトリブロックオリゴマーにおいてヘリカル→平面固相転移が始めて観測された。これによりオキシエチレン鎖のコンホメーション転移は本質的に可逆的であることがわかった。 2.上記オリゴマーの位置異性体系列においては置換位置のわずかな違いによるダイナミックな構造変化が見出された。 などの知見が得られた。 現在常圧下で得られたこれらの現象におよぼす圧力の影響を調べるために,液体用高圧ATRセル用サンプルチャンバーを製作している。
|
Research Products
(1 results)