2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640515
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
早川 滋雄 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (00156423)
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Keywords | 電荷逆転質量分析法 / MS / MS / アルカリ金属ターゲット / 中性種 / ラジカル |
Research Abstract |
平成13年度に本申請の科学研究費補助金により、日本原子力研究所からMS/MSガスクロ質量分析計の移設を行った。種々調整の結果、原子力研究所に設置されていた当初の性能を確認した。本年平成14年度は、これに電荷逆転質量分析法の装置とするためにアルカリ金属ターゲット用の反応室のついたフランジを作成して取り付けた。アルカリ金属であるRbをターゲットとして導入することに成功し、正イオンをアルカリ金属ターゲット中に入射して生成する負イオンを検出することに成功した。 反応機構を明確にするために、部分重水素化アセトアルデヒドを用いた電荷逆転質量分析法の実験を行った。メチル基側からアルデヒド基側からの水素原子の脱離が起こり、イオンの解離とはまったく異なった解離であることが明確になった。このことから電荷逆転質量分析法が中性種の解離の情報を与えていることが明確になった。また、メチル基側からの脱離がアルデヒド基側からの脱離より優先すること、同位体効果により水素原子の脱離が重水素原子の脱離より優先することが明らかになった。 反応中間体であるC3H3についての実験を試みた。アレンとプロピンから生成するC3H3+イオンからの電荷逆転スペクトルはほぼ同じであるのに対し、3ブロモプロピンから生成するC3H3+は解離負イオンピークの強度比と運動エネルギー放出に違いがあることが明確になった。このことは、イオンの解離スペクトルではほとんど差のないスペクトルを与える異性体が、電荷逆転質量分析法では明確な相違を示すことがわかった。 今後これらの相違を種々なアルカリ金属ターゲットを用いて確認をし、解離機構を明確にする予定である。Naターゲットについてはその導入に300℃以上の高温を必要とし、現在の導入方法ではしばしばトラブルを生じている。次年度はこれらを解決し、中性中間体の解離機構を明確にしていく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nobuaki Watanabe, Shigeo Hayakawa: "The dissociation mechanism of excited neutral acetaldehyde"Atomic Collision Research in Japan -Progress Report-. 28. 54-55 (2000)
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[Publications] Kouji Tomozawa, Shigeo Hayakawa: "Discrimination of C3H3+ isomers obtained from propyne, allene, and 3-bromopropyne"Atomic Collision Research in Japan -Progress Report-. 28. 46-47 (2000)
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[Publications] Shigeo Hayakawa: "Internal energy distribution in charge inversion mass spectrometry Using alkali metal targets"International Journal of Mass Spectrometry. 212. 229-247 (2001)
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[Publications] S.Hayakawa, K.Taguchi, R.Kotani, K.Arakawa, Morishita: "Discrimination of isomers of dichlorobenzene using charge inversion Mass spectrometry"Journal of the as Spectrometry Society of Japan. 49. 219-223 (2001)
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[Publications] 早川滋雄, 森政義, 渡邊信明, 藤井敬三, 荒川和夫, 森下憲雄: "電荷逆転質量分析法におけるピーク形状と運動エネルギー放出"質量分析. 49. 144-149 (2001)