2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640517
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
小尾 欣一 日本女子大学, 理学部, 教授 (10016090)
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Keywords | ベンゾフェノンケチルラジカル / 錯体形成 / レーザーフラッシュ / 過渡吸収 / 2次反応の阻害 |
Research Abstract |
本年度はベンゾフェノンケチルラジカルとアミン類との間での錯体形成と錯体の反応速度解析について精度の高い研究を推進した。ケチルラジカルはシクロヘキサン中でベンゾフェノンを308nmのエキシマーレーザーで光励起することによって生成した。過渡吸収スペクトルにより錯体形成を調べた結果、脂肪族アミンであるジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミンではいずれもケチルと錯体を形成し、その吸収スペクトルはフリーのケチルラジカルに比べブロードとなり、ピーク位置は5-10nm長波長にシフトした。錯体を形成した脂肪族アミンでは、ケチルーアミン錯体の減衰は遅くなり、フリーなケチルは約30μsで減衰がほぼ終了するのに対し錯体を形成すると40μsでも減衰は終了しない。いずれのラジカル錯体も2次反応で減衰し、錯体を形成してもケチルはラジカル同士の反応で消滅することがわかった。フリーなケチルに対し2次の減衰速度定数比を求めた結果、ジエチルアミンおよびトリエチルアミンとの錯体では減衰速度が1/2から1/3になったのに対し、ジ-n-プロピルアミンおよびトリ-n-プロピルアミンとの錯体では0.5および0.7と減衰速度の低下が小さかった。反応速度が遅くなる原因としては、アミンが付加したためにラジカル中心がアミンで覆われ2次反応が阻害されことが考えられるが、エチルアミン類に比べてプロビルアミン類との錯体の方が阻害作用が弱いことから、単にアミンのかさ高さだけではなく他の要因が反応の阻害に関係していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Okutsu: "A.Kinetic Study on the Spin Polarization Switching of Benzil in the Presence of Triethylamine"J. Phys. Chem. A. 105・15. 3741-3744 (2001)
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[Publications] A.Kawai: "Time Resolved ESR Study on the Photochemical Reactions of Pyrene and Nitroxide Radical System in Micelle ; Formation of Spin-Correlated Pyrene Cation-Nitroxide Pairs"Bull. Chem. Soc. Jpn. 74・7. 1203-1211 (2001)
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[Publications] A.Kawai: "Specific Solvent Effects on the Structure and Reaction Dynamics of Benzophenone Ketyl Radical"J. Phys. Chem. A. 105・42. 9628-9636 (2001)
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[Publications] 小尾欣一: "クーン・フェルスターリンク 物理化学 原子・分子・分子間力"丸善(株). 537 (2002)