2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640528
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小田 晃規 富山大学, 工学部, 助教授 (50251880)
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Keywords | カルボカチオン / トロピリムイオン / π電子系共役化合物 / スピカ化合物 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
7員環のまわりに2つの5員環が縮合し、さらに二つの6員環がスピロ接合した炭化水素陽イオン種の合成について検討した。シクロペンタ[f]アズレン骨格を有し、スピロ環接合位置の異なる二種の異性体の合成に成功した。合成法は市販の7員環不飽和化合物から、アシル化、アルドール反応、ナザロフ環化、シャピロ反応を経、いずれも8段階で合成できた。これらの合成は、既に白ら開発した合成方法が二つの5員環を有する骨格にも問題なく適用しうること証明する結果となった。それらイオン種の一方についてはX線結晶構造解析にも成功し、その結晶構造を明らかにすることができた。残りの一つについても単結晶の作成を鋭意検討したが、適当な結晶を得るには至ってない。さらに、これらの熱力学的安定性をUV法によるpK_<R+>値の測定によって行ない(ともに、pK_<R+>値は13.2)、炭化水素陽イオン種としてはトリス(t-ブチル)アズレニルメチルオインの14.4に次ぐ安定性を示すことがわかった。また、CV法による還元電位もこれらの一連のイオン種において熱力学的安定性と大まかに相関する結果を得た。結晶構造はπ電子共役イオン部とスピロ環接合部のσ-π共役を示唆する結合長を示した。この系が7員環トロピリウイオンと比較して高い安定性を示すことから、π-π共役、σ-π共役、ならびに誘起効果の3つ効果が同調して強め合って作用する、ハイブリット効果による安定化が提案できる。逆に、トロピリウムイオンに対する縮環効果と捉える場合、スピロ[n,4]アルカジエンは隣接する電子不足部位に対して高い安定化効果を有し、その有効性と限界とについて調べることも独立した新たな課題として有意義なものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Oda et al.: "Dicyclopenta[a, d]cyclooctene : A [14]Annulene Containing Two Zero-Atom Cross-Links"Angewandte Chemie International Edition. 40. 2660-2662 (2001)
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[Publications] S.Kuroda et al.: "Generation and [4+2]Cycloaddition of 1,6-Methano[10]annulene-3,9-quino-dimethane"Tetrahedron Letters. 42. 6345-6348 (2001)
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[Publications] M.Oda et al.: "Spiro[1H-azulenium-1.1'-cyclopropane] Ions ; Their Synthesis, Characterization and Some reactions"Recent Research Development in Organic & Bioorganic Chemistry. 4. 133-149 (2001)