2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅 誠治 京都大学, 工学研究科, 講師 (50291430)
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Keywords | 電子移動反応 / 有機ケイ素化合物 / カチオンラジカル / 電解酸化 / ピリジルエチル基 / 動的分子内配位 |
Research Abstract |
電子移動反応は酸化・還元による官能基の変換や化学結合の切断等に代表されるように、有機合成化学において重要な反応である。一般的に溶液中で電子移動反応が起こるとき、生成するカチオンラジカルやアニオンラジカルなどのイオン種が溶媒の双極子またはイオン等の配位により安定化されることが知られているが、通常電子移動が起こる前の電気的に中性な基質においてはこのような配位は非常に弱いと考えられている。本研究では、この効果をより積極的に利用するため、電子移動の際にイオン中心を安定化する置換基を基質中に導入することで、電子移動反応を制御することを目的とした。 本年度は、ケイ素に配位できる分子内配位子として、ケイ素上に2-ピリジルエチル基を有するα-ヘテロ原子置換有機ケイ素化合物を2-ピリジルエチルリチウムをジメチルクロロシランと反応させることで得られるヒドロシランとメトキシメチルリチウムあるいはチオフェニルメチルリチウムと反応させることで合成した。また、ピリジルエチル基を有するケイ素と持たないケイ素が同一分子内に存在する化合物も同様の方法で合成した。これらの合成したケイ素化合物の酸化電位測定を行った結果、対応するピリジル基を持たないケイ素化合物と比較して、酸化電位の著しい低下がみられた。また、量子化学計算により、この現象が分子内ピリジルエチル基のラジカルカチオン中間体における、動的な分子内配位によることを明らかにした。さらに、これらの化合物の電解酸化反応を行うことで、それぞれの化合物における炭素-ケイ素結合切断と後続する求核剤の付加について検証を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshida, J., Watanabe, M., Toshioka, H., Imagawa, M., Suga, S.: "Selective Electrochemical Oxidation of Heteroatom Compounds Having Both Silicon and Tin on the Same Carbon as Electroauxiliaries"Journal of Electroanalytical Chemistry. 507. 55-65 (2001)
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[Publications] Suga, S., Okajima, M., Yoshida, J.: "Reaction of Electrogenerated "Iminium Cation Pool" with Organometallic Reagents. Direct Oxidative α-Alkylation and -Arylation of Amine Derivatives"Tetrahedron Letters. 42. 2173-2176 (2001)
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[Publications] Suga, S., Okajima, M., Fujiwara, K., Yoshida, J.: ""Cation Flow" Method. A New Approach to Conventional and Combinatorial Organic Syntheses Using Electrochemical Micro Flow Systems"Journal of the American Chemical Society. 123. 7941-7942 (2001)
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[Publications] Suga, S., Suzuki, S., Yoshida, J.: "Reduction of a "Cation Pool". A New Approach to Radical Mediated C-C Bond Formation"Journal of the American Chemical Society. 124. 30-31 (2002)
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[Publications] 吉田潤一, 菅 誠治, 鈴木新吉: "カチオンプール法 -不安定なカルボカチオンを蓄え、そして反応させる-"現代化学. 7月号. 36-44 (2001)