2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸素酸化反応の高度な制御を実現する新規錯体触媒の開発
Project/Area Number |
13640543
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 徹 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (40296752)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 分子状酸素 / 酸化反応 / ルテニウム錯体 / エポキシ化反応 / 芳香環化反応 / ポルフィリン / キノン |
Research Abstract |
亜酸化窒素の捕捉活性化とこれを利用する触媒的なオレフィンのエポキシ化反応の実現を目指し検討したところ、触媒量のルテニウムポルフィリン錯体存在下、安息香酸コレステリルに10気圧の亜酸化窒素を作用させると、対応するエポキシドが高い収率かつ完全なβ-選択性で得られ、この反応がルテニウム触媒を介して進行することが確認された。この反応は他のオレフィンにも適用可能で、対応するエポキシドが高収率で得られた。エポキシ化反応以外の酸化形式を検討したところ、2級アルコールないしベンジルアルコールの酸化反応により対応するケトンないしアルデヒドが高収率で得られることがわかった。さらに、ベンジル位炭素の酸化、脱水素芳香環化反応においてもルテニウム錯体触媒の存在下、亜酸化窒素を酸化剤として利用する可能性について詳細に検討した。9,10-ジヒドロアントラセンをモデル基質としてベンジル位炭素の酸化を試みたところ、アントラキノンの他に脱水素芳香環化した生成物としてアントラセンが得られた。これらの生成比率の制御を検討したところ反応条件に大きく影響され、反応温度200℃では、アントラキノンが選択的に得られる一方、硫酸共存下では脱水素芳香環化反応の結果アントラセンが高選択的に得られることがわかった。以上のように、適切な錯体触媒によって亜酸化窒素を酸化剤とする酸化反応が実現されることが実証された。 以上の知見に基づき、新規錯体系としてルテニウムケトイミナト型錯体を用いる触媒的酸化反応への展開を試みた。ルテニウムケトイミナト型錯体としては軸配位子としてニトロシル基と塩化物イオンを持つもの、一酸化炭素を配位子として持つものの合成に成功した。これらの錯体を用いて、酸化剤としてメタクロロ過安息香酸を共存させる酸化反応を予備的に検討したところ、オレフィンのエポキシ化反応が金属錯体触媒を通して進行していることが確認された。
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Research Products
(1 results)