2002 Fiscal Year Annual Research Report
脂質性シグナル分子の働きを解明するための機能性低分子プローブの開発
Project/Area Number |
13640545
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 助教授 (90231571)
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Keywords | ケージド化合物 / 光化学 / 長鎖不飽和脂肪酸 / セカンドメッセンジャー / ステロイドホルモン |
Research Abstract |
細胞内シグナル伝達において、脂質およびその代謝産物が関わる経路の重要性が、次第に明らかになってきている。そこで、これらの動きを調べるための機能性低分子プローブとして、新規ケージド化合物の開発を目的として研究を行なった。我々のグループで開発した光分解性保護基であるBhc基を用いて、いくつかのタイプの脂質性シグナル分子の新規ケージド化合物を合成した。まず、長鎖脂肪酸であるアラキドン酸、オレイン酸およびステアリン酸のケージド化合物を合成し、光反応性、暗所での安定性等を明らかにした。さらに、ケージドアラキドン酸を用いることで、光照射によってCOX-2の活性が制御できることも確認した。続いて、水酸基を持つ生理活性物質のケージド化合物の前駆体として、Bhc-クロロホルメートを開発することに成功した。これを用いることで、セカンドメッセンジャーであるジアシルグリセロールのケージド化合物を高収率で合成することが出来た。これらの新規ケージド化合物を用いることで、細胞内シグナル伝達のメカニズムをより生理的な環境に近い条件で調べる道が拓かれたと言える。また、脂質性シグナル分子の中には、ステロイドホルモン等、核内のレセプターと結合することで転写を活性化する分子もある。これをケージド化合物にすれば、任意の遺伝子の発現を転写レベルで光制御できる。これに関連して、コール酸類のケージド化合物の合成にも成功している。コール酸類は、核内にあるFXRのリガンドで、自らの生成を制御する遺伝子発現を調節していることが分かってきた。これをさらに発展させると、任意の遺伝子の発現を転写レベルで調節する技術への応用が期待できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hirayama, T., Iwamura, M., Furuta, T.: "Design, synthesis and photochemical properties of caged bile acids"Bioorg. Med. Chem Lett. 13. 905-908 (2003)
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[Publications] Mizuta, H., Watanabe, S., Sakauchi, H., Nishiyama, K., Furuta, T., Kobayashi, Y., Iwamura, M.: "Design, Synthesis, photochemical properties and cytotoxic activities of water-soluble caged leucyl-leucine methyl esters that control apoptosis of immune cells"Bioorg. Med. Chem. 10. 675-683 (2002)