2002 Fiscal Year Annual Research Report
チタン・ジルコニウムを利用するグリーンケミカルなクライゼン縮合・アルドール付加
Project/Area Number |
13640548
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田辺 陽 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30236666)
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Keywords | グリーンケミストリー / クライゼン縮合 / アルドール反応 / 四塩化チタン / 四塩化ジルコニウム / ムスク香料 / ジャスミン香料 / カルバペネム |
Research Abstract |
独自のTi(Zr)-クライゼン縮合やアルドール反応を開発している。これらの反応は、以下に述べる各種の特徴を有しており、実験室的にも工業的にも有用と考えられる。 1.塩基法(NaH, LDA等)に比べ高い反応速度・高収率. 2.温和・実用的な温度条件(-10〜30℃). 3.塩基に不安定な官能基(ハロゲン・ケトン・アルコール・トシルオキシ)を共存する基質への適応. 4.極めて低毒で、安価なTi, Zr試剤の使用ならびにトルエン・ジクロロメタン溶媒で可能(高価で、工業的に不利なエーテル系溶媒を用いない). 5.Zr反応剤は、熱力学的に不利で従来困難であったα,α-二置換エステルのClaisen縮合が可能. 6.ケトン/アルデヒド間のみでなくケトン/ケトン間でも進行し,最強レベルの向山・奈良坂アルドール反応より反応性大. 7.高いsyn-立体選択性. 8.困難である単純エステル・チオエステルの直接Aldol-型反応が可能. これらの反応の特性を活かし,各種有用環状化合物の合成を達成した. 1.香料化学の重要課題であるムスク香料17員環(Z)-シベトンの初めての大量合成法を確立した.高濃度(0.1〜0.3mM)・短時間(1-3時間)でのTi-ディークマン環化(分子内クライゼン縮合)を鍵段階とする.大量サンプルの合成が可能になり,現在工業化を検討中である.類型のTi-アルドール環化による(R)-ムスコン中間体の合成にも成功した. 2.ミント香料として代表的な(R)-ミントラクトンや(R)-メントフランのTi-アルドール縮合を鍵段階とする短段階合成法を見出した.従来法に比べ工程数を大幅に短縮できた. 3.抗生物質の中で最も重要な1β-メチルカルバペネムの2つの鍵段階の効率的な立体選択的合成を見出した.(最近、メルク社は、このTi-反応剤を用いてAnti-MRSA抗生物質合成の工業的製法を行った).第一鍵段階は高立体選択的Ti-アルドール付加であり,第二鍵段階においてチオエステルの脱水型Ti-クライゼン縮合であり,工程を短縮でき,将来のアナログ合成に役立つと期待できる.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Tanabe, et al.: "Practical Synthesis of Z-Civetone Utilizing Ti-Dieckmann Condensation"Adv. Synth. Catal.. 344. 507-510 (2002)
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[Publications] Y.Tanabe, et al.: "Silazanes / catalytic bases : Mild, powerful and chemoselective agents for the preparation of enol silyl ethers from ketones and aldehydes"Chem. Commun.. 1628-1629 (2002)
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[Publications] Y.Tanabe, et al.: "Direct, Practical, and Powerful Crossed Aldol Additions between Ketones and Ketones or Aldehydes Utilizing Environmentally Benign TiCl_4-Bu_3N Reagnt"Tetrahedron. 58. 8269-8290 (2002)
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[Publications] Y.Tanabe, et al.: "Efficient One-step Synthesis of Trialkylsubstituted 2(5H)-Furanone Utilizing Direct Ti-Crossed Aldol Condensation and Its Application to the Straightforward Synthesis of (R)-Mintlactone and (R)-Menthofuran"Chem. Commun.. 2542-2543 (2002)
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[Publications] 田辺 陽: "農薬の合成に有用な有機反応:エステル化・アミド化・スルホニル化を例に挙げて"日本農薬学会誌. 27. 77-80 (2002)
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[Publications] 田辺 陽 (分担執筆): "プロセスケミストリーの新展開"CMC出版. 290 (2003)
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[Publications] 田辺 陽 (分担執筆): "次世代の農薬開発:ニューナノテクノロジーによる探索と創製"ソフトサイエンス社. 316 (2003)