2001 Fiscal Year Annual Research Report
軸不斉ビアントリルを利用したキラル空間の構築とその応用
Project/Area Number |
13640550
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
豊田 真司 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (80207646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 芙三夫 岡山理科大学, 理学部, 教授 (50036232)
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Keywords | 軸不斉 / 絶対立体化学 / ビアントリル / 包接 / X線構造解析 / 円二色性 / キラル空間 / 分子認識 |
Research Abstract |
キラル空間を構築するための基本構造として,不斉軸を持つ2,2-置換および3,3-置換9,9-ビアントリル(置換基=Cl, COOH, COOR)を利用することにした.本年度は,これらのエナンチオピュア体の合成と,立体化学的な基礎的情報を得ることに研究の焦点を絞り,以下の成果を得た. 最も進歩があったのは2,2-置換のジカルボン酸誘導体である.C1置換の化合物から2段階でラセミ体のカルボン酸を合成し,キニジンとのジアステレオマー塩を用いて一方のエナンチオマー分割した.このエナンチオマーの絶対立体化学は,X線構造解析により決定した.カルボン酸およびそのエステル類については,軸に関してMの立体化学を持つ異性体は,旋光度の符号はマイナスで,円二色性スペクトルでは240nm付近に負のコットン効果を示す共通の特徴を持つ.いくつかの3,3-置換誘導体についても,立体化学的なデータを得た. 合成した化合物のうち,2,2-COOCH_3の化合物を用いて,結晶構造と包接特性を調査した.ラセミ体よりエナンチオピュア体の方が圧倒的に包接能力が高く,ベンゼンや2-プロパノールなどの有機小分子を効率よく取り込んだ.ベンゼン包接体のX線構造からは,分子間の相互作用は比較的少なく,ホストの作る空孔にゲスト分子の大きさが適合していることがわかった. このように9,9-ビアントリルを用いて結晶中でキラル空間が構築できることが示され,今後の分子認識などへの応用のための基礎が固められた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Toyota, T.Yamamori, T.Makino: "Effects of Aryl and Arylethynyl Substituents at the 1-Position on Rotational Barrier around C(sp)-C(sp^3)Bonds and Bending Deformation of Acctylenic Carbons in Bis(9-triptycyl)ethynes"Tetrahedron. 57. 3521-3528 (2001)
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[Publications] S.Toyota et al.: "Crystal Structures of 2 : 1 Inclusion Complexes of Xylidine Isomers with I, 1, 6, 6-Tetraphenylhexa-2, 4-diyne-1, 6-diol : Importance of Weak Intermolecular Interactions in Crystal Stability"CrystEngComm. 7 (2001)