2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640551
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 昌宏 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (30250418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 晧彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70001865)
西川 治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (10108235)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / 固体表面 / 有機超薄膜 / キラリティ / 不斉 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光学活性を持つ分子に対し、分子間の相互作用を分子スケールでin-situ観察することである。分子間の相互作用の中で注目したのは不斉識別である。また、分子・原子解像度で表面を見るために、走査型トンネル顕微鏡(STM)を観察の手法として用いた。本研究の実験対象には、オーダーした分子の格子(集合体)としてだけではなく、単一の分子としても個別に不斉を識別可能な有機分子を選んだ。そこで、固体基板上に蒸着し薄膜を作製してSTM観察可能な系として、チアヘテロヘリセンについて調べた。この分子は、ねじれた芳香族環による螺旋キラリティを持ち、オーダー構造で充填された場合以外に、分子1個でもキラリティが識別可能であると期待された。 この分子について、薄膜を蒸着で作製してSTM観察を行ったところ、分子間の不斉識別が下地(固体基板)の構造によって左右されることが明らかになった。金単結晶の(111)面、(110)面を基板を用いて実験することで、薄膜の構造に対する下地構造の影響を明らかにできた。また、多結晶基板を下地に用いた場合には、単一の基板で様々な下地構造の影響を一度に探索できる利点があり、両者の結果を比較検討することで、分子間の相互作用から不斉識別が起こるには、分子相互の配向や距離が重要であり、下地の異方性やサイズが合わない場合には(110)面などの場合でも不斉識別には不充分であることが確認された。その一方で、不斉識別が起こることが多結晶面上では確認され、サイズがより適合するような下地構造であれば不斉識別が起こることが明らかになった。さらに、チアヘテロヘリセンのように嵩高い分子であれば、一分子毎に個々の絶対配置が識別しながら以上の議論ができることが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Taniguchi: "STM observation of molecular chirality and alignment on solid surface"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical. 3948. 1-7 (2003)
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[Publications] S.Takahashi: "Electrochemical and in situ STM studies of anomalous phosphate adsorption induced on Zn UPD at Au(111)in the presence of halide ions in aqueous phosphate solutions"Surface Science. 512. 37-47 (2002)
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[Publications] 渡邉 将史: "走査型アトムプローブの開発と電子源材料の解析"Technical Report of IEICE. ED2002-244. 11-15 (2002)
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[Publications] 山岸 晧彦: "LB膜法による粘土単一層膜の製造と修飾電極への応用"触媒. 44(3). 177-181 (2002)
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[Publications] M.Watanabe: "Study of Field Emission Characteristics of Carbon with the Scanning Atom Probe"Jpn. J. Appl. Phys. 41. 7469-7475 (2002)