2003 Fiscal Year Annual Research Report
d-f元素系多核錯体を前駆体とする均一複合酸化物の新規低温調製法
Project/Area Number |
13640552
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂本 政臣 山形大学, 理学部, 教授 (20036445)
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Keywords | ヘテロ金属錯体 / d-f元素系錯体 / 熱分解 / 複合酸化物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、結晶としてあらかじめ単離したヘテロ金属錯体の熱分解による複合酸化物の低温調製法を新しく提案することである。この方法は、原子レベルで均一な高表面積の複合酸化物を調製する方法として非常に有望なものである。これまでの2年間は、主に希土類とd遷移元素から成る(1:1)ペロブスカイト型酸化物の低温調製を行ってきた。最終年度にあたる15年度では、他の複合酸化物の低温調製にも本法が有効であるかを検討した。 そのために、LaとCuが2:1の錯体[La_2Cu(C_4O_4)_4(H_2O)_<16>]・2H_2Oを合成し、その熱分解挙動と分解生成物について調べた。この錯体はC_4O_4^<2->(3,4-dihydroxy-3-cyclobutene-1,2-dionate)によってLaとCuが架橋された三次元ネットワーク構造をとっている。200℃付近までに18個の水分子が失われ、650℃付近以上で重量減少がほとんど見られなくなった。この650℃以上の最終プラトーにおける生成物の粉末X線回折パターンを測定した結果、La_2CuO_4の単相になっていることがわかった。このような複合酸化物が生成しているとしたときの重量減少率は63.6%であり、実測値の63.2%ともよく一致している。700℃で1時間熱処理することによって得られるLa_2CuO_4の粒径を電子顕微鏡(SEM)写真で調べた結果、約100nmで揃っていることがわかった。800℃で1時間熱処理すると、焼結による粒子成長のために、粒径が約200nmと大きくなる。 このように、2種類の金属イオンが1:1のペロブスカイト型酸化物だけでなく、他の複合酸化物の低温調製も、適切なヘテロ金属錯体を前駆体とすれば、充分可能であることがわかった。
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Research Products
(1 results)