2001 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性色素錯体の開発および電子状態と配位構造の規制によるフォトクロミズムの制御
Project/Area Number |
13640557
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
中島 清彦 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (50198082)
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Keywords | 光応答性 / アゾ色素 / 金属錯体 / シッフ塩基 / 電子状態 / 配位様式 |
Research Abstract |
本年度予定していた研究計画については,概ね順調に実施することができ良好な研究成果が得られたと考えている。まず,アミノ基を有するアゾ化合物と各種アルデヒドを反応させて,光応答性サイトとしてアゾ基を組み込んだ各種シッフ塩基多座配位子の合成を行った。これらの配位子を使用して,主にPd(II)錯体の合成と単離,および構造の決定を行った。このうち非配位のアゾ基を有する錯体については,光と熱によるアゾ基の異性化反応を各種溶液中で確認した。また,結晶中での光異性化は起こらなかったが,固相の有機薄膜中では溶液中と同様に異性化することが見出された。現在速度論的な解析を行っている。一方,アゾ基の金属イオンへの配位が可能な分子構造を有するシッフ塩基-Pd(II)錯体では,実際にアゾ基が配位した錯体と共に,アゾ基のN原子がイミンのC原子に分子内で付加して生成した環状配位子を有する錯体が得られた。後者の錯体の生成は当初から予想されたものではなかったが,配位子内で広い範囲にわたって非局在化した電子状態を有すること,配位子内に分極した電子構造を有していること等の点で構造的にも興味深く,また,両錯体間の配位様式の変化に光が関与していることがわかったため,現在これらの錯体の構造と反応性について大いに興味をもって検討を行っている。今年度はPd(II)錯体を中心に錯体の合成と光反応性の検討を行ってきたが,次年度は他の金属イオン,特にRu(II)への系の拡張を図りたい。また,特に固相での光による配位様式の変化とその制御について考察したいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Nakajima: "Thermal and photo substitution reactivity and crystal structures of tridentate Schiff base-ruthenium(II) complexes containing phosphorus or sulfur donor atoms"Inorg.Chim.Acta. 325. 36-44 (2001)
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[Publications] M.Nonoyama: "Cyclometallation of 3-phenyl-6-p-toluidinopyridazine forming a six-membered auracycle and a five-membered palladacycle certified by X-ray analysis"Polyhedron. 20. 3019-3025 (2001)