2001 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性な疎水性金属錯体の特異的二相分離水溶液の性質と構造
Project/Area Number |
13640563
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
横山 晴彦 横浜市立大学, 総合理学研究科, 教授 (10094319)
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Keywords | 光学活性錯体 / フェナントロリン / ビピリジン / ナフタレンスルホン酸 / 光学分割 / 疎水性相互作用 / 相分離 / 溶液構造 |
Research Abstract |
[Co(phen)_3]^<3+>および[Rh(bpy)_3]^<3+>の光学分割剤であるK_3(+)_<589>[Co(L-cysu)_3](cysu=L-cysteine-sulphinato(2-)-SN)の合成を文献による方法で行った。すなわち、[Co(NH_3)_6]Cl_3からK_3[Co(L-cys)_3]を合成し、これを過剰の過酸化水素水と反応させて配位子を酸化して、K_3(+)_<589>[Co(L-cysu)_3]を合成した。当初、目的物の収率が極めて悪かったため、反応条件を色々変えて検討を行った結果、過酸化水素水との反応温度が文献による10℃以下では反応が十分進行していないことが判明した。検討の結果、反応は20〜25℃で行うのが最も適切であることが分かった。得られたK_3(+)_<589>[Co(L-cysu)_3]は再結晶を繰り返して精製し、[Co(phen)_3]Cl_3と[Rh(bpy)_3]Cl_3の光学分割に用いた。分割方法は、それぞれの水溶液をモル比1対2で混合し、ロータリーエバポレータで減圧濃縮を行い析出してくる結晶を分別回収する。最初の方で回収される溶解度のより低いジアステレオ異性塩、(+)_<546>-[Co(phen)_3](+)_<589>-[Co(L-cysu)_3]および(+)_<546>-[Rh(bpy)_3](+)_<589>[Co(L-cysu)_3]、の光学純度を上げるため繰り返し再結晶を行う。しかし、いずれの塩も溶解度が非常に低いため、一回の再結晶で取り扱える量は限られており極めて効率の悪い遅々とした実験となった。光学分割した錯体の純度は、吸収スペクトルと旋光度を測定することにより行うが、手持ちの自動旋光計が目的の波長領域での測定ができないこと、購入から18年経過しており精度が低下していたことから、急遽、日本分光製の旋光度測定装置を購入し対処することとなった。今後,光学純度の高いジアステレオ異性塩を大量に合成し、(+)_<546>-[Co(phen)_3]^<3+>および(+)_<546>-[Rh(bpy)_3]^<3+>の塩化物を得るため(+)_<589>[Co(L-cysu)_3]^<3->を除去し、更に、最終的な目的物であるナフタレンスルホン酸塩を得る予定である。
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