2001 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素及び有機金属を用いた分子性酸化物の系統的合成と反応
Project/Area Number |
13640567
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 篤 関西学院大学, 理学部, 助教授 (60239720)
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Keywords | 分子性酸化物 / 合成無機化学 / 有機金属 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)とMo_2O_7^<2->,Mo_8O_<24>^<4->、WO^<4->を反応させるとMo_8O_<24>^<4->、Mo_6O_<19>^<2->、W_6O_<19>^<2->が夫々得られた。これらの結果より、NOが水を排除した条件下で、酸素引き抜き試剤として有効に働く事が明らかになった。これまで非水系では適当な酸素引き抜き試剤が無かった為、水を排除した条件下での新しい分子性酸化物の合成は不可能視されて来たが、今回の結果により、非水系での新しい分子性酸化物合成への道が大きく開かれた。実際、[Sb_8O_<12>(OH)_<20>]^<4->とNOとのアセトニトリル中の反応より、[Sb_8O_<12>(OH)_<20>]^<4->が更に縮合した化合物が得られている。現在、この化合物の結晶化を検討中である。また、VO_3^-をNOと反応させると、[(NO)V_<12>O_<32>]^<5->が生成すると同時に複数の分子性バナジウム酸化物が生成する事が、これまでの我々の研究により明らかになっていたが、この内の一つを結晶として単離する事に成功した。今後この化合物の結晶構造解析を含めたキャラクタリゼーションを行う。更に、ヘキサヒドロキソ白金酸を有機金属である[(Me_3P)_2Pt]^<2+>と反応させる事により、これまで例の無かった、混合原子価の白金の分子性酸化物[{(Me_3P)_2Pt}_3Pt(OH)_6]^<4+>の合成と構造決定に成功した。 以上の他に、酸素引き抜き試剤を用いずに非水系で反応を行う事に依り、これまでの水溶液系での研究ではなされなかった、分子性酸化物の単純な化学量論に従った合成にも成功した。また、[Sb_8O_<12>(OH)_<20>]^<4->をシラノールと反応させる事により、シラノールで修飾された分子性酸化物を得る事にも成功した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroyuki Nakano: "Synthesis and Structural Characterization of a New Series of Vanadoselenites, [Se_xV_4-_xO_<12-x>]^<(4-x)->(x=1,2)"Inorganic Chemistry. 40. 1816-1819 (2001)
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[Publications] Yasunari Kusaka: "A New Polyantimonate with an Sb_4O_<16> Core"Inorganic Chemistry. 40. 2634-2635 (2001)
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[Publications] Keita Hara: "Hydrolysis of platinum(II) phosphine complexes in aqueous 1.0 M (Na)NO_3 medium"Polyhedron. 20-. 1903-1905 (2001)