2002 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素及び有機金属を用いた分子性酸化物の系統的合成と反応
Project/Area Number |
13640567
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 篤 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60239720)
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Keywords | 分子性酸化物 / 合成無機化学 / 有機金属 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
純粋な無機化合物である白金酸、H_2Pt(OH)_6、と有機金属の仲間である白金のフォスフィン化合物、[(Me_3P)_2Pt](NO_3)_2、とを反応させる事に依り、陽イオン性の分子性酸化物、[{(Me_3P)_2Pt}_3Pt(OH)_6]^<4+>が得られる事を明らかにすると共に、その成果をChem. Commun.誌に発表した。また、[(Et_3P)_2Pt](NO_3)_2もH_2Pt(OH)_6と同様に反応して[{(Et_3P)_2Pt}_3Pt(OH)_6]^<4+>を作る事を確認し、この無機金属試薬と有機金属化合物との反応が、陽イオン性の分子性酸化物の系統的合成法となる事を立証した。 一酸化窒素を用いた反応の研究では、NOとVO_3^-との反応が、VO_3^-の対カチオンに大きく影響される事を発見した。カチオンがテトラエチルアンモニウムの場合はNO^-イオンがバナジウム分子性酸化物中に包接された[(NO))V_<12>O_<32>]^<5->が得られる。ところが、カチオンをテトラブチルアンモニウムに変えるとこの様な化合物の生成は認められなくなり、これとは全く異なるNMR及びIRスペクトルを示す化合物が得られる様になる。テトラプロピルアンモニウムを用いるとこの両方の分子性酸化物の生成を示唆する実験結果が得られる。これらの反応を追跡、研究する過程で、カチオンにテトラエチルアンモニウムを用いると分子性バナジウム酸化物が水分子とのアダクトを作る事を発見した。このアダクトは、構造もさる事乍ら、熱した際に、水分子を吸着させた五酸化バナジウムと極めて類似した挙動を示す。アダクト中の水分子は比較的強く分子性酸化物と結合しており、溶液中でも一部は解離せずに分子性酸化物と結合したままである事を示唆する結果が得られている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Noro, K.: "Isolation of a new mixed valence Pt molecular oxide using phosphine as protecting group"Chemical Communications. 1770-1771 (2002)
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[Publications] Nakano, H.: "[(C_2H_5)_4N]_4[V_4O_<12>]・2H_2O"Acta Crystallographica, Section C. C58. 464-465 (2002)
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[Publications] Toshihiro Yamase: "Polyoxometalate Chemistry for Nano-Composite Design"Kluwer Academic. 234 (2002)